生成AI研修とは、社員がChatGPTなどの生成AIを業務で安全に使えるよう、仕組みとプロンプトの書き方、社内ルールを学ぶ法人向けの研修です。種類はセミナー、eラーニング、ハンズオン、業務伴走の4つに分かれ、どれを選ぶかで、受けられる人数と、受講後に業務がどこまで変わるかが決まります。

2026年9月時点の情報です。助成金の要件は変わることがあるため、最新の内容は厚生労働省の公式サイトにある人材開発支援助成金の案内でご確認ください。

この記事の答え

  • 生成AI研修は、生成AIを業務で使うための知識とルールを社員に身につけてもらう研修で、種類は4つに分かれる
  • 選ぶときの分かれ目は、全社で使い方を揃えたいのか、特定の業務を変えたいのかという目的
  • まず題材にする業務と、入力してよい情報の線引きを決めてから、見積を取る

生成AI研修とは

生成AI研修は、文章や画像を作るAIを、社員が自分の仕事で使えるようにするための研修です**。扱うのは操作方法だけでなく、どんな仕事に向くか、何を入力してはいけないか、出てきた答えをどう確かめるかまで含みます**。

「AI研修」と「生成AI研修」の範囲の違い

法人向けの案内には「AI研修」「生成AI研修」「DX研修」が混ざっていて、名前だけでは扱う範囲が分かりません。比べる前に、どの範囲の研修かを揃えます。

案内での呼び方 扱われることが多い範囲 比べるときに確かめること
AI研修 生成AIを使う内容から、機械学習やデータ分析の基礎まで幅がある 目次を見て、AIを使う側の研修か、AIを作る側の研修かを先に見分ける
生成AI研修 ChatGPTなどの対話型AIや、文章・画像の生成を業務で使う範囲 この記事はこの範囲を前提にしている
DX研修・デジタル人材研修 業務の進め方の見直しが中心で、AIは一部の回だけ AIに何時間使うかを確かめてから並べる

AIを作る側まで含む研修は、前提になる知識が違うため、同じ対象者向けの研修とは並べて比べられません。

生成AI研修の種類(セミナー・eラーニング・ハンズオン・業務伴走)

法人向けの生成AI研修は、提供のされ方で4つに分けられます。サービスの名前は各社で違いますが、ほとんどがこの4つのどれか、または組み合わせです。

種類 一度に受けられる人数の目安 受講後にできるようになること 費用の決まり方 向いている場面
セミナー(講義中心の集合研修) 1回あたり20〜50人 基本の使い方と注意点が分かる 1回ごとの実施費を回数分 部署をまたいで同じ説明を一度に届けたいとき
eラーニング 数百人〜全社 用語と操作が分かる 1人あたりの単価×人数、または期間の契約 着任時期がばらばらでも、全社に同じ内容を配りたいとき
ハンズオン(部門ごとの演習) 1回あたり5〜15人 自部門の業務で試し、手順を直せる 1回ごとの実施費と、事前の題材づくり 件数が多く手順の決まった業務を1つ変えたいとき
業務伴走 1〜5人 実際の業務の中で、仕組みを作れる 期間の契約、支援者の作業時間 社内で作れる人を増やし、次から自分たちで進めたいとき

一度に届けられる人数が多い種類ほど、扱う内容は全員に共通のものになり、各自の業務からは遠くなります。この関係は避けられないため、目的に合わせてどちらかを選びます。

種類ごとに社内が用意するもの

見積の金額には出てきませんが、どの種類でも社内が先に用意するものがあります。用意が無いまま当日を迎えると、どの種類でも一般的な説明だけで終わりやすくなります。

種類 実施前に社内で用意するもの 用意が無いと起きること
セミナー 参加者の名簿と、当日使うアカウント ログインできない人が出て、演習が見学になる
eラーニング 配信先の名簿と、業務時間の中で視聴してよいという合意 視聴が後回しになり、修了する人が増えない
ハンズオン 題材にする業務と、当日扱ってよいデータ 題材が決まらず、一般的な例だけで終わる
業務伴走 対象者の作業時間と、対象業務の今のやり方の記録 支援の時間が日程調整に消え、何が変わったかを後から示せない

この表の中身は発注先ではなく社内の担当が受け持つ部分なので、実施日を決める前に担当者と期限まで決めておきます。

「講座」と「法人研修」の違い

同じ生成AIの学びでも、「講座」「セミナー」として案内されるものと、「法人研修」として案内されるものがあります。呼び方に決まった定義はありませんが、実際の案内を並べると、申し込み方と内容の決まり方に違いがあります。

見分ける点 講座・セミナーとして案内されるもの 法人研修として案内されるもの
申し込み方 個人で申し込み、決まった日程に参加する 会社で申し込み、日程と対象者を自社で決める
内容の決まり方 あらかじめ決まっていて、受講者に合わせては変わらない 事前の打ち合わせで、扱う業務や題材を調整できる
扱うデータ 用意された例題を使う。自社のデータは持ち込まない前提が多い 自社のデータを扱えるかを事前に取り決める
受講後に残るもの 受講者本人の理解。教材は見られる期限が付くことがある 条件しだいで、教材と記録を社内に残せる
費用の見え方 1人あたりの受講料×人数 1回ごとや期間の契約が中心で、社内の手間が別にかかる

「講座」と書かれていても、自社のデータを扱えるか、教材が手元に残るかは契約の条件で決まります。名前で判断せず、上の5つを1つずつ確かめます。少人数で決まった内容を学ぶだけなら講座で足りますが、自部門の業務を題材にしたいなら、その調整が契約に入るかを先に聞きます。

対象者別に学ぶ内容(全社員・管理職・推進担当・開発者)

同じ研修を全員に受けてもらうと、役割の違う人が同じ時間を使うことになり、内容が薄くなります。対象者ごとに、身につけたいことを分けて考えます。

対象者 身につけたいこと 合う種類
全社員 基本の使い方、入力してはいけない情報、答えを確かめる習慣 eラーニング、セミナー
管理職 部下の業務のどこで使えるかを見分けること、使った成果物の確かめ方 セミナーに、判断の演習を加える
推進担当 題材にする業務の選び方、社内ルールの運用、受講後の相談への対応 ハンズオン、業務伴走
開発者・情報システム担当 社内システムとのつなぎ方、APIの扱い、データの管理 業務伴走、技術寄りの専門研修

階層別に分けるときの考え方

全員に共通の下地を先に配り、そのうえで役割ごとに時間を分けると、同じ予算でも無駄が少なくなります。管理職向けには、自分で操作するより、部下が作ったものをどう確かめるかに時間を多く割きます。推進担当は人数が少ない分、自社の業務を題材にした演習を厚くできます。

研修で扱う内容(仕組み、プロンプト、社内ルールと情報漏えい・著作権)

生成AI研修で扱う内容は、多くの研修で次の3つに分かれます。どれか1つが抜けると、使える人が増えても、社内で安心して使える状態にはなりません。

生成AIの仕組みと得意・不得意

生成AIは、学んだ大量の文章をもとに、続きとしてもっともらしい文章を作ります。そのため、事実と違う内容をもっともらしく書くことがあります(ハルシネーション)。研修では、要約や下書きのように人が後で確かめられる作業に向き、正確な数字や最新の情報をそのまま信じる使い方には向かないことを押さえます。

プロンプトの書き方

プロンプトは、生成AIへの指示の文章です。役割、目的、前提になる情報、出してほしい形を具体的に書くと、答えが安定します**。研修で効くのは、書き方の型を覚えることより、自分の仕事の指示を実際に書き直して、答えがどう変わるかを見る演習です**。

社内ルールと情報漏えい・著作権

研修の中で必ず扱うのは、何を入力してよいかの線引きです。顧客の個人情報や社外秘の資料を、会社として契約していないサービスに入力すると、情報漏えいにつながるおそれがあります。研修の前に、使ってよいサービスと入力してよい情報を社内ガイドラインとして決めておくと、研修の中で具体的に説明できます。

著作権については、文化庁が2024年3月に「AIと著作権に関する考え方について」をまとめています。生成したものを社外へ出すときは、既存の作品に似ていないかを人が確かめる手順を、社内ルールに入れておきます。

費用の決まり方と助成金(人材開発支援助成金)

生成AI研修の費用は、種類によって決まり方が違います。1人あたりの単価で決まるもの、1回ごとの実施費で決まるもの、期間の契約で決まるものがあり、そのままでは金額を比べられません。

見積を比べるときに揃える3つの条件

同じ条件に直してから比べます。

  1. 同じ人数・同じ期間で受けた場合の総額に直す
  2. 受講者が業務時間の中で使う時間と、運営担当が準備に使う時間を足す
  3. 次の部門へ広げるとき、初回と同じ金額がかかるのか、教材を社内で使い回せるのかを聞く

人数が多い種類ほど、見積に出てこない社内の手間が大きくなります。

人材開発支援助成金を使うときの確かめ方

法人の研修費用には、厚生労働省の人材開発支援助成金が使える場合があります。2026年9月時点で、人材育成支援コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースなどのコースが設けられています。

助成率や上限額、対象になる研修の条件は年度で変わるため、この記事では書きません。厚生労働省の人材開発支援助成金のページで最新の案内を読み、申請の手続きと時期は都道府県労働局に確かめます。研修会社に、過去にこの助成金を使った研修の実績があるかを聞くのも手です。助成の条件に合わせて研修の中身を変えると目的から外れることがあるため、目的と対象者を先に決めてから制度に当てはめます。

法人が研修を選ぶ5つの基準

生成AI研修のカリキュラムはどの会社も似た項目が並び、目次だけでは違いが見えません。法人が研修を選ぶときは、次の5つで比べます。

基準 研修会社に聞くこと 答えがあいまいなときに起きること
1. 目的に合う種類か 全社で揃える研修か、特定の業務を変える研修か 人数は確保できても、業務は元のままになる
2. 自社の業務を題材にできるか 演習の題材を自社の業務に差し替えられるか、その準備を誰がするか 受講後に自分の仕事へ当てはめる作業が各自に残り、手を付けられない
3. 講師が同じ業務を自分で回した経験があるか 当日進める人は誰で、想定と違う答えが出たときにその場で原因を探せるか 想定外の場面で説明が止まり、参加者は疑問を持ち帰る
4. 教材と記録が社内に残るか 教材と演習の題材を、社内で書き換えられる形で受け取れるか 2回目以降も外部に頼むことになり、費用が毎回かかる
5. 受講後の相談先があるか 受講後の質問を受ける窓口と期間が契約に入っているか 最初につまずいた時点で使うのをやめ、元のやり方に戻る

5つの中で最初に確かめるのは、1の目的です。 目的が決まらないまま見積を取ると、各社が思い思いの条件で見積を出すため、金額の比較が成り立ちません。

目的から種類を決める判断の流れ

自社がどの種類を中心にするかは、次の3つの問いに上から答えると決まります。

生成AI研修の種類の選び方 3つの問いに上から答えて、セミナーとeラーニング、業務伴走、ハンズオンのどれを中心にするかを決める ・上から順に答え、最初に「はい」になった種類を中心に組みます 全社で使い方とルール を揃えたいか セミナー+eラーニング ・受講後に部門ごとの演習を足す はい いいえ 社内で仕組みを作れる 人を育てたいか 業務伴走 ・対象は数人に絞る はい いいえ 題材にする業務が決ま っているか ハンズオン ・当日扱ってよいデータを先に決める はい いいえ 業務を1つ決めてから選び直す ・件数が多く手順の決まった業務から選ぶ
最初に決めるのは、研修の目的が全社で揃えることか、特定の業務を変えることかです。

全社の底上げと、作れる人の育成を1つの研修で同時に満たそうとすると、人数を集めるために内容が薄くなるか、内容を保つために対象が数人になります。2つの目的は分けて予算を取った方が、社内で説明しやすくなります。

研修会社を比べる前に社内で決めること

複数の会社から提案を受ける前に、次の4つを社内で決めておきます。

  1. 目的(全社の底上げか、作れる人の育成か)
  2. 対象者(どの部門の何人か、誰の業務を題材にするか)
  3. 題材にする業務(件数が多く、手順の決まった業務から選ぶ)
  4. 効果を見る数字(対象業務の処理時間や件数など、受講の前後で比べられるもの)

題材にする業務が具体的だと、各社はその業務に対して何ができるかを書くことになり、どこにでも出せる提案と見分けられます。口頭で「対応できます」と言われた項目は、提案書か見積書のどこに書かれるかまで確かめます。

研修の後に業務で使われるまで定着させる方法

研修の満足度は高かったのに、数か月後には誰も使っていないという状態はよく起きます。原因は研修の中身より、研修の前後の準備にあることが多く、次の3つに当てはまります。

原因 研修の後に起きること 研修の前にしておくこと
題材が自部門の業務でない 自分の仕事に当てはめる作業が各自に残り、手を付けられないまま終わる 演習の題材を、受講者が普段こなしている業務から選ぶ
使える環境が整っていない 使おうとしても、アカウントや入力してよい情報が決まっておらず止まる 実施日までにアカウントを配り、入力してよい情報を決める
研修の後に相談先がない 想定と違う答えが出た時点でやめ、元のやり方に戻る 社内で答えられる人を1人決め、質問の受け口を作る

最初に整えるのは使える環境

3つのうち最初に手を付けるのは、アカウントと入力してよい情報の決まりです。題材と相談先は研修の設計で調整できますが、アカウントとデータの扱いは情報システムや法務など別の部署の判断が要り、時間がかかります。

受講率ではなく業務の変化で効果を見る

研修の報告に出てくる数字は、受講率や満足度が中心です。これは研修が予定どおり進んだかを示す数字で、業務が変わったかは示しません。

研修の前に、題材にする業務の1件あたりの時間と月の件数、今の手順を記録しておき、研修の後に同じ業務で比べます。記録が無いと、後から差を示せません。

社内に教えられる人を残す

外部に頼むたびに費用がかかる状態と、社内の担当者が次の部門へ広げられる状態では、2年目以降の負担が変わります**。社内から運営担当を出して題材選びと当日の進行に関わってもらい、教材を書き換えられる形で受け取ると、次の回から社内で進められます**。教材の扱いは契約の条件に関わるため、見積の段階で確かめます。

まとめ:生成AI研修の種類と、法人が選ぶときの要点

  • 生成AI研修は、生成AIを業務で安全に使うための仕組みとプロンプトの書き方、社内ルールを学ぶ研修
  • 種類はセミナー、eラーニング、ハンズオン、業務伴走の4つ。一度に届く人数が多いほど、内容は各自の業務から遠くなる
  • 講座と法人研修に決まった定義は無い。申し込み方、自社のデータを扱えるか、教材が残るかで見分ける
  • 対象者は全社員、管理職、推進担当、開発者で分け、共通の下地を配ってから役割ごとに時間を分ける
  • 研修では、何を入力してよいかの線引きと、著作権に配慮した確認の手順を必ず扱う
  • 費用は人数と期間、社内の手間、2回目以降の費用を揃えて比べる。人材開発支援助成金の条件は厚生労働省の最新の案内で確かめる
  • 選ぶ基準は、目的、題材、講師、教材、相談先の5つ。最初に目的を決める
  • 定着させるには、使える環境を先に整え、業務の時間と件数を研修の前から記録する

Augueでは、社内でAIを扱える人を増やすための研修と、実際の業務を題材にした伴走支援を提供しており、題材にする業務の選び方から、研修の後に社内へ残す形まで一緒に設計しています。自社にどの種類の研修が合うか整理したい方は、是非ご相談ください。

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よくある質問

研修の費用はどれくらいを見ておけばよいですか?

一律の目安は出せません。1人あたりの受講料で決まる研修、1回ごとの実施費で決まる研修、期間の契約で決まる研修があり、そのままでは比べられないためです。見積を並べるときは、同じ人数・同じ期間に直した総額で比べます。そこに、受講者が業務時間の中で使う時間と、社内の運営担当が使う時間を足したものが、実際に負担する金額です。

オンラインと対面では、研修の結果は変わりますか?

形式より、参加者が自分の仕事を持ち込めるかどうかで差が出ます。対面でも講師の画面を見ているだけなら、動画を見るのと変わりません。オンラインでも各自が手元の仕事を題材にして、詰まったところをその場で見てもらえるなら、身につきます。形式を決める前に、参加者に何を持ってきてもらうかを決めます。

研修を入れる前に、社内の利用ルールを決めておくべきですか?

少なくとも、入力してよい情報の線引きと、迷ったときの相談先は先に決めます。この2つが無いまま研修をすると、参加者は差し支えのない軽い作業しか題材にできず、実務で迷う場面に触れないまま終わります。禁止事項をすべて書き出す必要はありません。迷ったときに誰へ聞くかが決まっていれば足ります。

効果が出たかは、どれくらい待てば判断できますか?

題材にした業務が何回起きるかで決まります。月に1回しか起きない業務なら、3回試すまでに3か月かかります。毎日起きる業務なら数週間で判断できます。カレンダーの期間ではなく、その業務を何回こなしたかで区切ると、まだ判断できない時期に打ち切ることを避けられます。

ChatGPTなどの無料版で研修を受けても問題ありませんか?

研修の中で社内の情報を入力するなら、会社として契約したアカウントを用意します。無料版や個人の契約では、入力した内容の扱いが会社の契約と異なる場合があり、研修の後にそのまま業務へ使うと、社内ルールと合わなくなります。どのサービスをどの契約で使うかは、研修の日程より先に決めます。