研修会社を並べる前に決めること

生成AI研修を探し始めると、各社のカリキュラム一覧が並びます。扱う内容はどこも似ており、項目を見比べても違いは出ません。決まるのは、依頼側が次の3点を先に固めたときです。

  • 対象者の範囲 … 全社か、特定の部門か、業務の担当者数名か
  • 到達点 … 使えるようになれば足りるのか、自分の業務を自分で組み替えられる状態まで求めるのか
  • 題材 … 用意された例題で進めるのか、自社の業務とデータを持ち込むのか

この3点で候補は絞られます。全社向けに用語をそろえたいのに伴走型を選ぶと単価が合わず、業務を1本変えたいのにeラーニングを選ぶと受講後に何も動きません。提供形態そのものの違いは法人向け生成AI研修の比較で扱っています。社内に講師役を残す進め方は生成AI研修を社内で回せるようにするを参照してください。

生成AI研修の4タイプ

各社の提供形態を並べると、次の4つに整理できます。1社が複数を持つことも多く、その場合は案内の中心にあるものを主軸として見ます。

生成AI研修の4タイプ 横軸は対象人数の多さ、縦軸は実務への近さを表し、eラーニング型、公開講座型、部門ワークショップ型、伴走・内製化型の4つを配置した図 対象人数が多い ← → 少数に絞る 実務から遠い ← → 実務に近い eラーニング型 全社に配信し、用語と前提をそろえる 1人あたりの単価で積む 公開講座・集合研修型 決まった内容を短時間で学ぶ 1名から申し込める 育成基盤・アセスメント型 技能を測り、個別に講座を割り当てる 全社の底上げを続けやすい 伴走・内製化型 自部門の業務を題材に手を動かす 作れる人と手順が社内に残る
対象人数を増やすほど実務からは遠くなり、実務に近づけるほど対象は絞られる。

タイプごとに、向く場面と受講後の状態が変わります。

タイプ 向く場面 受講後の状態 費用の積み方
eラーニング型 全社で用語と扱い方の前提をそろえたい 操作と基本の考え方が分かる。業務の手順は変わらない 1人あたりの単価に人数を掛ける
公開講座・集合研修型 部門をまたいで短時間で共通の理解を作りたい 決まった内容の範囲で使える 1名ごとの受講料、または1回あたりの実施費
育成基盤・アセスメント型 技能の把握から育成計画までを続けたい 誰が何をできるかが見える。個別の学習が回る 期間契約と利用人数
伴走・内製化型 対象業務を絞り、社内で直せる状態にしたい 自部門の業務を自分で組み替えられる 期間契約、支援者の稼働時間

対象人数と実務への近さは反比例します。両方を一度に満たす形はないため、順序を決めます。全社へeラーニングを配信して前提をそろえ、業務を変えたい部門だけ伴走型を重ねる組み合わせが実務では多く採られます。

法人向け生成AI研修おすすめ比較10選

タイプとサービス内容は、各社が公開している情報をもとに整理しました。料金と実績は、公開されていない場合を要お問い合わせとしています。

会社/サービス タイプ サービス内容 料金 実績
株式会社Augue 伴走・内製化型 Augue AX パートナー(研修とハンズオン実行支援、社内ガバナンス構築を一体で提供) AX パートナーは月額制 営業からバックオフィス、開発まで幅広い領域で導入
株式会社AVILEN eラーニング型と伴走型の併用 生成AIリテラシー研修/業務プロセス適用研修/ChatGPT研修/Copilot研修/実装研修/構築研修 eラーニング1名66,000円(税込)から 提供1,000社以上
Aidemy Business 育成基盤・アセスメント型 AI/DXの学習コース250種以上、人材要件定義からスキルの把握、研修設計、学習促進までの伴走。デジタルスキル標準に準拠 要お問い合わせ 要お問い合わせ
株式会社インソース 公開講座・集合研修型 AIエージェント基礎研修/ChatGPTプロンプトエンジニアリング研修/Copilot研修/Gemini研修。生成AI関連で40種類以上、1名から参加可 コースごとに設定 要お問い合わせ
株式会社エクサウィザーズ 育成基盤・アセスメント型 エクサベース DXアセスメント&ラーニング(技能の把握と育成) 要お問い合わせ 全社員規模のeラーニング導入事例を掲載
株式会社ギブリー 伴走・内製化型 MANA(AI戦略と体制構築、人材育成と社内浸透)/Track 要お問い合わせ 要お問い合わせ
株式会社キカガク 育成基盤・アセスメント型 DX・AI人材育成/AX推進支援/キカガク DX-Navi 要お問い合わせ 導入1,000社以上、受講生200,000名以上
株式会社SHIFT AI 伴走・内製化型 SHIFT AI for Biz(伴走型AI人材育成プログラム) 要お問い合わせ 要お問い合わせ
株式会社STANDARD 育成基盤・アセスメント型 TalentQuest(個別に講座を割り当てる育成)/伴走型DXコンサルティング 要お問い合わせ 1,000社以上のDX推進を支援
株式会社WEEL 公開講座・集合研修型 生成AI・ChatGPTのセミナー、講演、研修 要お問い合わせ 要お問い合わせ

この表は当社を先頭に置き、以降は社名の五十音順で並べています。順位や優劣を示すものではありません。数値はいずれも各社の公開情報を出典としており、自社での検証値ではありません。以下の各社の説明も、各社が公開している記述の範囲にとどめています。

伴走・内製化型の4社

自部門の業務を題材に、担当者と一緒に手を動かして進める形です。対象人数は絞られる代わりに、業務そのものが変わります。

株式会社Augue

会社名 株式会社Augue
主なサービス Augue AX パートナー(インハウス開発体制構築プログラム)

社員がAIを使えるようになるところで止めず、自分や組織の業務を自動化できる状態までを目標に置いた月額制の伴走支援です。研修とハンズオンの実行支援、社内ガバナンスの整備を一体で提供する構成で、作れるだけで終わらせず、安全に作って社内で運用できる体制まで整える点を掲げています。

業務の棚卸しから設計を伴うAX コンサルティング、開発を引き受けるAX ソリューションと組み合わせられるため、育成と実務の変更を並行させたい場合に選択肢になります。

株式会社ギブリー

会社名 株式会社ギブリー
主なサービス MANA/Track/Givery AI Lab/Givery AI 顧問

AIトランスフォーメーション事業のMANAで、AI戦略と体制の構築、人材育成と社内浸透、業務プロセス変革支援までを扱っています。人的資本インテリジェンス事業のTrackを持つため、育成と技能の評価をつなげて設計したい場合に向きます。共創型のプロジェクト支援としてGivery AI Lab、技術アドバイザリーとしてGivery AI 顧問も用意されています。

株式会社SHIFT AI

会社名 株式会社SHIFT AI
主なサービス SHIFT AI for Biz

伴走型のAI人材育成プログラムとして案内されており、対象は企業のDXと人材開発の担当者と明記されています。あわせて、他社のAI活用事例を集めた「AI経営総合研究所」も提供しています。他社の進め方を参照しながら社内の計画を作りたい段階で相談しやすい構成です。

株式会社AVILEN

会社名 株式会社AVILEN
主なサービス 生成AIリテラシー研修/生成AI業務プロセス適用研修/ChatGPT研修/Copilot for Microsoft 365活用研修/生成AI実装研修/構築研修/技術実装コンサルティング

全社員向けから開発者向けまで職層別にコースを分け、eラーニング、対面とWebの集合形式、伴走型を組み合わせられる構成です。eラーニングは1名66,000円(税込)からと料金が公開されており、提供実績は1,000社以上です。導入企業の事例として、月2,200時間の削減と450件以上の活用事例、約8,600名への研修提供が挙げられています(出典は同社公式サイト)。

リテラシーの底上げから業務への適用、実装までを1社で通したい場合に候補になります。

育成基盤・アセスメント型の4社

技能を測り、一人ひとりに講座を割り当てて続ける形です。全社の底上げを何年か続ける前提の会社に向きます。

Aidemy Business

会社・サービス Aidemy Business
主な内容 AI・DXの学習コース、人材要件定義、技能の把握、研修設計、学習促進の伴走

オンラインの学習基盤で、生成AIでの業務効率化からPythonでの実装、Word・ExcelとITの基礎までを対象にしています。250種以上のコースを備え、デジタルスキル標準に準拠していること、大規模言語モデルを使ったアシスタント機能を持つことが記載されています。技能の可視化と学習の割り当てを続けたい場合に合います。

株式会社エクサウィザーズ

会社名 株式会社エクサウィザーズ
主なサービス エクサベース DXアセスメント&ラーニング

技能の把握と育成を扱うサービスで、全社員規模でのeラーニングの導入事例が掲載されています。同社は業務別のAIエージェント製品も展開しているため、製品の導入と育成を同じ相手に相談したい場合に検討できます。

株式会社キカガク

会社名 株式会社キカガク
主なサービス DX・AI人材育成/AX推進支援/キカガク DX-Navi

計画の策定から研修設計、実務での成果づくりまでを通して支援する形を掲げています。導入企業1,000社以上、受講生200,000名以上を掲げ、Google Cloud認定パートナーと日本ディープラーニング協会のC認証も取得しています(出典は同社の公開情報)。

機械学習まで含めて体系的に学ばせたい場合、コースの幅が広い会社です。

株式会社STANDARD

会社名 株式会社STANDARD
主なサービス TalentQuest/伴走型DXコンサルティング

一人ひとりの学習の必要度と意欲に合わせて講座を割り当てる育成基盤と、伴走支援のコンサルティングを両輪にしています。人材育成を軸に内製化までを一気通貫で支援する方針を掲げ、東証プライム上場企業を中心に1,000社以上のDX推進を支援したと記載されています。

育成の進み方を数値で管理し、経営へ報告する必要がある場合に扱いやすい形です。

公開講座・集合研修型の2社

決まった内容を短時間で学ぶ形です。1名から申し込める会社もあり、まず数名で試すときの入口になります。

株式会社インソース

会社名 株式会社インソース
主なサービス AIエージェント基礎研修/ChatGPTプロンプトエンジニアリング研修/Copilot研修/Gemini研修

公開講座とオンライン開催、講師派遣の3つの形で提供し、1名から参加できると明記されています。生成AI関連で40種類以上のコースがあり、プロンプトの設計に重点を置いた内容が並びます。階層別と職種別のコースがそろっているため、対象を分けて実施したい場合に選びやすい会社です。

研修会社としての開催数を掲げていますが、調査範囲の注記が付いた表示のため、比較の材料としては注記の条件まで確認します。

株式会社WEEL

会社名 株式会社WEEL
主なサービス 生成AI・ChatGPTのセミナー、講演、研修

セミナーと講演、研修を提供しており、生成AIのコンサルティングと開発も手がけています。研修だけで終わらせず、その後の開発まで同じ相手に相談したい場合の入口になります。

費用の比べ方

各社の見積は単位が違うため、金額をそのまま並べても比較になりません。次の3つを同じ条件にそろえてから集めます。

そろえる条件 提示する内容 そろえないと起きること
対象人数と回数 何人に、何回実施するか。2回目以降の単価も含めて聞く 初回だけ安い見積を選び、展開時に予算が足りなくなる
実施形態と時間数 オンラインか対面か、1回あたり何時間か 同じ金額でも実施時間が半分の見積が混ざる
題材の準備を誰が行うか 自社の業務を題材にする場合、その整理を依頼側と受託側のどちらが行うか 直前に依頼が来て、題材が整わないまま当日を迎える

加えて、社内で発生する工数を金額に足して見ます。受講者が業務時間を使う分と、運営担当が調整に使う分は、どの見積にも載りません。ここを含めずに単価だけで比べると、実際の負担を見誤ります。

選定時に確認する質問

聞く質問 答えで見分けたいこと 答えが具体的でないときに起きること
当日進行するのは誰で、その人は同じ業務を自分で回した経験がありますか 教材を読み上げる進行か、詰まった箇所を切り分けられる進行か 想定と違う結果が出た場面で説明が止まる
自社の業務とデータを題材にできますか。制約は何ですか 実務に近づけられる範囲 例題だけで終わり、持ち帰って各自が当てはめる作業が残る
使った教材と演習の題材を、社内で改変できる形でもらえますか 2回目以降を社内で回せるか 手元に残るのが当日のスライドだけになる
実施後の質問窓口は、どの期間まで含まれますか 受講後に詰まったときの支援 想定と違う結果が出た時点で元の手順へ戻る
同じ内容を次の部門へ展開するとき、費用はどう変わりますか 2年目以降の負担 展開のたびに初回と同じ金額が必要になる
公開されている実績の数値は、どういう範囲での集計ですか 数値の前提 業種も規模も違う件数を根拠に判断してしまう

最後の項目は、各社が掲げる導入社数や受講者数を読むときに必要です。合計値は対応領域の広さを示しますが、自社と近い条件での実績があるかは別に聞きます。

受講後に社内へ残すもの

研修の成果は、終わった直後には判定できません。判定できるようにするには、実施前に残すものを決めておきます。

  • 改変できる形の教材と題材 … 2回目を社内で実施できるかは、ここで決まる
  • 対象業務の記録 … 実施前の手順と処理時間を記録しておかないと、後から変化を測れない
  • 社内で答えられる担当 … 受講者の中から、次に質問を受ける人を決めておく
  • 実施後に触れる環境 … アカウントと扱ってよいデータの範囲が未定だと、受講直後に止まる

このうち対象業務の記録は、研修の申し込みより前に着手できます。実施後に「効果があったか」を議論する場面で、記録がないと受講者の感想しか材料がなくなります。

外部研修から社内の人材育成へつなぐ

外部研修は、対象業務を1つ変えるところまでは進みます。ただし次の部門や翌年度も同じ形で発注すると、人数が増えるたびに同じ費用がかかります。2回目以降を社内で回すには、初回の実施と並行して次の3点を決めておきます。

決めること 初回の実施中にやっておくこと 決めないまま終えたとき
誰に何を教えるか 決裁する立場、業務を割り振る立場、手を動かす立場で、必要な内容と時間を分ける 同じ教材を全員に配ることになり、決裁側は判断材料を得られず、担当者には時間が足りない
社内で教える人 受講者の中から次の進行役を決め、初回の進行を横で見てもらう 2回目も外部へ発注することになり、対象人数の分だけ費用が積み上がる
教材を直す担当と頻度 使うツールや社内のルールが変わったとき、誰がどこを直すかを決める 数か月後に手順が実態と合わなくなり、教材が参照されなくなる

1つ目は、対象者を人数でまとめず立場で分けるという話です。何を教えるかは立場ごとに変わり、必要な時間も変わります。分け方は法人向け生成AI研修を階層別に設計するで扱っています。

2つ目と3つ目は、社内に進行役と教材の持ち主を置けるかどうかで決まります。外部研修を受けた人が次の回を進める形へ移す手順は生成AI研修を社内で回せるようにするにまとめました。研修会社を選ぶ段階では、教材を改変できる形で受け取れるか、初回の進行に社内の人を同席させられるかを、契約前に確認しておきます。

まとめ:研修会社を比べる要点

  • カリキュラムの項目を見比べる前に、対象者の範囲と到達点、題材の3つを決める
  • 各社はeラーニング型、公開講座・集合研修型、育成基盤・アセスメント型、伴走・内製化型のどれを主軸にしているかで見る
  • 対象人数と実務への近さは反比例する。全社の底上げと業務の変更は、別の形で順に進める
  • 費用は対象人数と回数、実施形態と時間数、題材の準備分担をそろえてから集め、社内工数を足して比べる
  • 公開されている導入社数や受講者数は、集計の範囲を聞いてから判断の材料にする
  • 実施前に、改変できる教材と対象業務の記録を残す取り決めをしておく
  • 2回目以降を社内で回すため、立場ごとの内容の分け方と、社内の進行役・教材の担当を初回のうちに決める

Augueでは、研修とハンズオンの実行支援、社内ガバナンスの整備を一体で行い、受講した方が自分の業務を組み替えられる状態までを支援しています。全社の底上げと業務の変更をどの順序で進めるかの整理からご相談を承っていますので、ご興味がある方は是非ご相談ください。

関連する記事

まずは現状をお聞かせください

弊社では具体的な要件が固まっていない段階でも、無料相談で現状をお聞きしていますので、お困りの際はご相談ください。

無料相談を予約する →

よくある質問

研修の対象者は、希望者だけに絞ってよいですか?

最初の1回は希望者で構いません。ただし対象業務を変えることが目的なら、2回目以降はその業務の担当者を対象に含める必要があります。希望者だけを続けると、意欲のある人の個人技として終わり、業務の手順は元のままになります。誰を対象にするかは、変えたい業務を決めてから逆算します。

助成金や補助金は使えますか?

制度の適用条件は年度と実施形態で変わるため、この記事では個別の可否を書きません。確認の順序としては、まず実施予定の形態(集合研修か、eラーニングか、伴走支援か)と時間数を固め、そのうえで研修会社に過去の申請実績を聞き、所轄の窓口で最新の要件を確認します。要件に合わせて内容を変えると、本来の目的から外れることがあるため、目的を先に決めます。

社内の担当者だけで進める場合と、外部の研修を入れる場合の違いは何ですか?

差が出るのは、詰まった箇所をその場で切り分けられるかどうかです。社内だけで進めると、想定と違う結果が出たときに原因の切り分けができず、そこで止まりやすくなります。外部を入れる価値は教材の提供よりも、例外に当たったときの判断を借りられる点にあります。逆に言えば、教材の提供だけの契約なら社内で代替できます。

研修の期間はどれくらいが目安ですか?

一律の目安は出せません。対象業務が月に何回発生するかで、成果を判定できる時期が変わるためです。日次で発生する業務を題材にすれば数週間で判断でき、月次の業務なら3か月ほどかかります。カレンダー上の期間で契約を決める前に、題材にする業務の発生回数を数えます。