Gemini APIの料金は、送った文章(入力)と返ってきた文章(出力)のトークン量に応じて払う従量課金で、多くのモデルは無料枠でも使えます。業務で使う月額は、1日の件数と1件あたりの入力・出力の量から、入力分と出力分を別々に計算して足し合わせれば見積もれます。

この記事の答え

  • Gemini APIは無料枠で試せますが、上限の値は公開されておらず、Google AI Studioで確かめます
  • 月額は「件数×1件のトークン量×単価」を入力と出力で別々に出して足します
  • 業務データを流すなら、入力がサービス改善に使われない有料枠へ先に切り替えます

この記事の単価と上限は、2026年10月にGemini Developer APIの料金ページ(2026年10月9日更新)と、Googleの課金ページ、レート制限ページで確認した情報です。料金は改定されることがあるため、予算を確定する前には、Google AI for Developersの料金ページで最新の単価をご確認ください。

Gemini APIの料金の仕組みと無料枠

Gemini APIは、Googleの生成AI「Gemini」を自社のシステムやスプレッドシートから呼び出すための窓口です。アプリのように月額を払うのではなく、使った量に応じて払います。

料金は入力と出力のトークンに応じた従量課金

トークンとは、AIが文章を読み書きするときの単位で、文字数とおおむね比例します。Gemini APIでは、入力のトークンと出力のトークンにそれぞれ別の単価がかかり、出力の単価のほうが4〜6倍ほど高く設定されています。単価は100万トークンあたりの米ドルで示されています。

同じ件数でも、長い文書を読ませて短い答えを返す使い方と、短い指示で長い文章を書かせる使い方では、費用が大きく変わります。予算を組むときは、入力と出力のどちらが多い使い方かを先に見ておきます。

無料枠はあるが、上限の値はGoogle AI Studioで確かめる

Gemini APIは、多くのモデルで無料枠が用意されています。ただし、無料枠で1分間・1日に使える回数の固定値は公式の文書に載っておらず、Google AI Studioの「レート上限」の画面で、自分のプロジェクトに今かかっている上限を見る形です。上限は、後で説明する支払い実績に応じた階層(Tier)などによって変わるためです。

上限は次の3つの単位で決まっています。

指標 意味 数える対象
RPM 1分あたりのリクエスト数 APIを呼んだ回数
TPM 1分あたりのトークン数 入力のトークン
RPD 1日あたりのリクエスト数 APIを呼んだ回数

上限はAPIキーごとではなく、プロジェクトごとにかかります。同じプロジェクトでAPIキーを何本作っても、使える量は増えません。また、RPDは太平洋時間の午前0時にリセットされます。日本時間では夏時間の時期は16時、それ以外の時期は17時で、日本の夕方に1日の枠が戻ります。

無料枠を超えたときの動き(レート制限と429)

3つの上限のどれか1つでも超えると、そのリクエストはレート制限のエラーになり、処理されません。たとえばRPMの上限が20なら、ほかに余裕があっても1分間の21件目でエラーになります。無料枠のまま上限を超えても勝手に課金が始まることはなく、エラーで止まるだけです。

費用にもとづく上限に達した場合は、429 RESOURCE_EXHAUSTED というエラーが返ると公式に書かれています。エラーが出たら少し待ってから再試行するか、呼び出しの頻度を下げます。毎日決まった時刻に大量の処理を流す仕組みでは、RPDのリセットが日本の夕方である点を踏まえて、流す時刻を決めておきます。

Gemini APIの料金をモデル別に比べる(Flash・Pro・Flash-Lite)

主なモデルの単価を並べると次のとおりです。金額は100万トークンあたりの米ドルで、Standard(通常の呼び出し方)の料金です。

モデル 無料枠 入力(ドル) 出力(ドル) 単価の補足
Gemini 3.8 Flash あり 0.75 3.75 2027年1月1日から入力1.50、出力7.50
Gemini 3.1 Pro Preview なし 2.00 12.00 入力が20万トークンを超えると入力4.00、出力18.00
Gemini 3.1 Flash-Lite あり 0.25 1.50 音声の入力は0.50
Gemini 2.5 Flash-Lite あり 0.10 0.40 音声の入力は0.30

出力の単価には、次の節で説明する思考トークンも含まれます。

2027年1月1日にGemini 3.8 Flashの単価が上がる

Gemini 3.8 Flashは、2026年12月31日までの単価と、2027年1月1日からの単価が分かれています。2027年1月からは入力・出力ともに今の2倍になるため、来年度の予算を組むときは新しい単価で計算します。コンテキストキャッシュとBatchの単価も同じく約2倍になります。

今の単価で試算した月額をそのまま年間の予算にすると、1月以降に予算が足りなくなります。年度の途中で単価が変わる場合は、月ごとに単価を分けて計算しておくと、稟議の数字と実際の請求がずれにくくなります。

Proは無料枠が無く、長い入力で単価が上がる

Gemini 3.1 Pro Previewは、無料枠が無いため、試すだけでも請求先アカウントの紐づけが要ります。1回の入力が20万トークンを超えると、入力も出力も高い単価に切り替わります。長い契約書や報告書をまとめて読ませる使い方では、どちらの単価がかかるかを先に確かめます。

文書の要約や分類、決まった形式への書き出しのように、手順が決まっている処理はFlash系で足りることが多く、Proは難しい判断や長い資料の読み込みに絞ると費用を抑えられます。

Gemini APIの月額を試算する手順と計算例

月額は、入力と出力を分けて計算してから足し合わせます。 入力分だけで計算すると、単価の高い出力分が抜け、実際の請求が試算の数倍になることがあります。

試算の手順

次の4つの手順で計算します。

順番 手順 やること
1 件数を決める 1日に何件APIを呼ぶかと、月に何日動かすかを決め、月の件数を出す
2 1件の量を測る 実際の文書を数件Google AI Studioで試し、1件あたりの入力と出力のトークン数を確かめる
3 入力分と出力分を出す 月の件数×1件のトークン数÷100万×単価を、入力と出力で別々に計算する
4 足して為替を当てる 入力分と出力分を足したドルの金額に、予算を組む時点の為替レートを掛けて円にする

1件あたりのトークン数は、想定の文字数から推し量るより、実際の文書で測るほうが正確です。社内の文書は書式や長さにばらつきがあるため、短いものと長いものを含めて数件試し、平均をとります。

円に直す為替レートは、社内で予算に使っているレートを当てはめてください。ドル建ての請求なので、為替が動けば円での支払額も変わります。

計算例:1日200件の文書の要約をGemini 3.8 Flashで回す場合

1日200件、月22日動かし、1件あたり入力3,000トークン、出力800トークンの使い方を、Gemini 3.8 Flashの今の単価と2027年1月からの単価で計算した例です。

項目 月のトークン数 2026年の単価での金額(ドル) 2027年1月からの単価での金額(ドル)
入力 13,200,000 9.90 19.80
出力 3,520,000 13.20 26.40
合計 16,720,000 23.10 46.20

月の件数は200件×22日で4,400件です。入力は4,400件×3,000トークンで1,320万トークン、単価0.75ドルを掛けて9.90ドルになります。出力は4,400件×800トークンで352万トークン、単価3.75ドルを掛けて13.20ドルです。

トークン数は入力のほうが4倍近く多いのに、金額は出力のほうが大きくなっています。出力の単価が入力の5倍だからです。返す文章を短くするよう指示するだけでも、費用は目に見えて変わります。

単価表の外でかかる費用

モデルの単価のほかに、使う機能によって費用が足されるものがあります。

費用 無料の範囲 超えたときの扱い
思考トークン モデルの単価に従う 出力のトークンとして、出力の単価で数える
Google検索のグラウンディング(Gemini 3以降) 月5,000件まで 1,000件あたり14ドル
画像の生成 無料枠なし 使った分を最初から課金
Veoによる動画の生成 無料枠なし 使った分を最初から課金

思考トークンは出力として数えられる

思考トークンとは、モデルが答えを出す前に内部で考える過程で使うトークンです。画面に表示される答えが短くても、考えた分のトークンは出力として数えられます。答えの長さだけで出力のトークン数を見積もると、請求が試算より多くなります。試算の手順2で実際の文書を試すときに、使ったトークン数の合計を見ておくと、思考トークンも含めた数字がとれます。

Google検索のグラウンディングは件数で別に払う

グラウンディングとは、モデルがGoogle検索の結果を参照して答える機能です。Gemini 3以降のモデルでは、検索を使った回数が月5,000件を超えると、トークンの料金とは別に件数での料金がかかります。最新の情報を調べさせる処理を毎日大量に流す場合は、件数の見積もりも試算の表に1行足しておきます。

費用を抑える方法(Batch・コンテキストキャッシュ・モデルの使い分け)

Gemini APIの料金を抑える方法は、主に3つあります。

方法 向いている処理 下がり方 注意すること
Batch 結果をその場で返さなくてよい処理 Standardの約半額 結果が返るまで時間がかかる
コンテキストキャッシュ 同じ長い前置きや資料を毎回送る処理 キャッシュした部分の入力が通常の1割ほどの単価 保存している時間に応じて保存料金がかかる
モデルの使い分け 簡単な処理と難しい処理が混ざっている業務 Flash-Liteの単価はFlashの数分の1 精度が足りるかを実際の文書で確かめる

Batchは、たくさんのリクエストをまとめて預け、後から結果を受け取る呼び出し方です。夜のうちに前日分の書類を分類する、月末に1か月分のデータをまとめて要約する、といった急がない処理に向きます。

コンテキストキャッシュは、毎回同じ社内規程や回答例を前置きとして送る仕組みで効きます。前置きを一度保存しておけば、2回目以降はその部分の入力を安い単価で読めます。

どの使い方にするかの判断

最初に決めるのは、業務データを流すかどうかです。そのうえで、急ぎかどうかと処理の難しさで使い方を選びます。

Gemini APIの使い方と料金の決め方 業務データを流すか、すぐに結果が要るか、難しい判断を含むかの3つの問いで、無料枠・Batch・Flash系・Proのどれで使うかを決める ・上から順に答え、最初に抜けたところが使い方の目安です 試作だけで、業務デー タを流さないか 無料枠で試す ・上限はAI Studioで確認 はい いいえ 結果をその場で返す必 要があるか Batchで流す ・Standardの約半額 いいえ はい 難しい判断や長い文書 を扱うか Flash系で動かす ・件数が多いならFlash-Lite いいえ はい Proを使い、件数を絞る ・20万トークン超は単価が上がる
業務データを流すなら、最初に有料枠へ切り替えます。
そのうえで急ぎかどうかと、処理の難しさでモデルを選びます。

有料枠への切り替えと前払い・上限額

業務で継続して使う場合は、無料枠から有料枠へ切り替えます。

請求先アカウントを紐づける手順

有料枠への切り替えは、Google AI Studioの画面から行います。課金設定はプロジェクトごとに行うため、業務で使うプロジェクトを決めてから進めます。

  1. Google AI Studioの「API キー」ページか「プロジェクト」ページを開き、有料にしたいプロジェクトの「課金階層」の列で「課金を設定」を押します。
  2. 請求先アカウントを用意します。初めての場合は国を選び、利用規約に同意して、連絡先と支払い方法を入力します。すでにある場合は既存の請求先アカウントを選ぶか、「新しい請求先アカウントを追加」を押します。
  3. 支払い方法として前払いか後払いを選びます。自動で割り当てられる場合は、その内容を確かめます。前払いなら「クレジットを購入」で残高を入れます。

前払いは最低5ドルから、残高0で止まる

前払いは、最低5ドルのクレジットを買ってから使う方式です。1回に買えるのは5ドルから5,000ドルまでで、買ったクレジットは12か月で失効します。

残高が0になると、その請求先アカウントに紐づいた全プロジェクトのAPIキーが同時に止まり、リクエストはHTTP 402というエラーで失敗します。無料枠に自動で戻ることもありません。業務の仕組みに組み込んだ後に止まると処理が滞るため、「オートチャージを設定」で自動補充を入れるか、残高を見る担当を決めておきます。

Tier1〜3の条件と月の上限額

有料枠のTierは、支払いの実績に応じて上がり、Tierごとに月に使える金額の上限が決まっています。

階層 上がる条件 月の上限額(ドル)
Tier1 有効な請求先アカウントを紐づける 250
Tier2 累計100ドルを支払い、最初の支払いから3日たつ 2,000
Tier3 累計1,000ドルを支払い、最初の支払いから30日たつ 20,000〜100,000以上

上限額は請求先アカウント単位でかかり、上限に達すると、そのアカウントのプロジェクトは翌月1日まで止まります。Tier1の月250ドルを超える使い方を予定しているなら、本番の開始より前に支払い実績を作り、Tier2に上げておく必要があります。

業務データを流す前に有料枠にする理由

無料枠では送った内容がGoogleのサービス改善に使われ、有料枠では使われません。 顧客の情報や社内の文書を流す仕組みでは、試作の段階から有料枠のプロジェクトを使うのが安全です。

課金ページによると、プロジェクトのうち1つでも課金を有効にしていれば、Google AI Studioの画面で試したプロンプトも有料サービスの条件で扱われます。社内のセキュリティ審査でデータの扱いを聞かれたときは、どのプロジェクトで課金が有効になっているかを答えられるようにしておきます。

まとめ:Gemini APIの料金は入力と出力に分けて試算する

  • Gemini APIの料金は、入力と出力のトークン量に応じた従量課金で、出力の単価のほうが高い
  • 無料枠の上限の値は公開されておらず、Google AI Studioで確かめる。上限はプロジェクト単位で、1日の枠は日本の夕方に戻る
  • 月額は、月の件数と1件のトークン数から、入力分と出力分を別々に出して足す。Gemini 3.8 Flashは2027年1月に単価が2倍になる
  • 思考トークンや検索のグラウンディングは単価表の外の費用で、Batchやコンテキストキャッシュ、モデルの使い分けで費用を下げられる
  • 業務データを流す前に有料枠へ切り替え、前払いの残高とTierの月の上限額を本番の開始前に確かめる

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よくある質問

Google AI ProなどGeminiアプリの有料プランを契約すれば、APIの上限も増えますか?

増えません。Google AI ProやGoogle AI Ultraは、GeminiアプリやGmailの中でGeminiを使うための月額プランで、APIの利用上限や請求とはつながっていません。自社のシステムからGeminiを呼ぶ費用は、Google AI Studioのプロジェクトに請求先アカウントを紐づけて、使った量だけ払う形になります。社員がチャットで使う費用と、システムに組み込む費用は、予算を分けて組みます。

Vertex AIからGeminiを使う場合と、何が違いますか?

Vertex AIはGoogle Cloudの機能として提供されている窓口で、同じGeminiのモデルを使えますが、契約と請求はGoogle Cloudの請求先アカウントで扱い、料金表もGoogle Cloud側に別にあります。この記事の単価と上限額は、Google AI Studioから申し込むGemini Developer APIのものです。すでにGoogle Cloudで他のサービスを契約し、権限や監査ログをそこでまとめて管理している会社は、Vertex AIの料金表もあわせて比べると判断しやすくなります。

使いすぎによる想定外の請求は、どう防げばよいですか?

前払いを選び、オートチャージを設定しなければ、購入した残高を使い切った時点でAPIが止まるため、請求が残高を超えて膨らむことはほぼありません。ただし公式の課金ページによると、使った分が請求に反映されるまで約10分の遅れがあり、長時間のバッチ処理などでは残高を少し超えて使われる場合があります。本番で動かし始めた月は、Google AI Studioで使用量を毎日見て、試算とずれていないかを確かめます。

前払いで買ったクレジットは、使わなければ返金されますか?

原則として返金されません。購入から12か月たつと失効します。例外として、前払いから後払いへ切り替える場合は、残っている残高が元の支払い方法に戻されます。最初から大きな額を買うより、試算した1〜2か月分を目安に購入し、実際の使用量を見てから追加するほうが、使い残しを出しにくくなります。