生成AIのセキュリティ審査は、学習への利用・保存先・アクセス権の3点を最初に確かめ、残りを12項目のチェックリストで埋めていくと止まらずに進みます。社内文書を読ませる使い方では、これに加えて参照範囲が利用者の権限で絞られるかを見ます。判断が止まる原因の多くは、何を確かめれば通せるかが決まっていないことと、申請書に渡す資料が書かれていないことです。

この記事の答え

  • 生成AIのセキュリティ審査は、学習への利用・保存先・アクセス権の3点から確かめ、12項目で埋める
  • 同じサービスでも個人向けと法人向けで入力データの扱いが違うため、契約するプランの条項で判断する
  • 結果は可否の二択にせず、扱う情報・部署・機能・期間を絞った条件付きの形で返す

2026年10月時点の情報です。Geminiの入力データの扱いは、Googleの公式ページ「Gemini アプリのプライバシー ハブ」と「Google Workspace の生成 AI に関するプライバシー ハブ」で最新の内容を確かめてください。

生成AIのセキュリティ審査が止まる理由

生成AIのサービスを使いたいという申請が情報システム部門に届いたとき、判断が止まる理由は「そのサービスが危険かどうか分からない」ではありません。多くは、何を確かめれば通せるのかが決まっていないことと、申請書に書かれた情報が足りないことです。

申請票に「業務効率化のため」「機密情報は入力しない」とだけ書かれていると、確認のしようがありません。どの情報を渡すのかが分からないので、提供元の規約を読んでも可否を決められません。提供元への問い合わせと事業部への差し戻しが何往復も続き、事業部からは審査が遅いと見え、情シスからは書いてもらえないと見えます。

止まりを減らす順序は決まっています。確認する項目を先に固定し、その項目を埋めるために事業部に何を書いてもらうかを決め、判断の結果を条件付きで返す形にします。可否の二択にすると、条件を詰めれば通せたものまで不可になります。

最初に確かめる3点:学習への利用・保存先・アクセス権

12項目のうち、審査の結論を左右するのは学習への利用、データの保存先と期間、アクセス権限の3つです。この3つが埋まらないうちは、ほかの項目が揃っていても通せません。

学習への利用は契約するプランの条項で確かめる

学習への利用は、伝聞で決めず、契約するプランの条項の場所まで確かめます。「学習には使いません」という説明はあっても、根拠が個人向けプランの説明ページだったり、規約の旧版だったりすることがあります。確認した日付と、根拠にした規約や条件の版を審査記録へ残します。

学習に使わない設定がある場合は、管理者が組織全体に適用でき、利用者が個別に戻せない状態にできるかも見ます。設定で止められても、既定値が有効なら、利用者が個別に切り替えるまで有効のままです。

保存先と保存期間は、学習とは別に聞く

学習に使われないことと、保存されないことは別です。学習には使わないが、不正利用の監視のために一定期間は保存する、という条件は珍しくありません。監視のために保存されるものが何で、どれだけの期間残るのか、保存される国・地域はどこかを個別に確認します。ここが「学習には使わないので保存もされない」とまとめられていると、あとで削除の依頼ができません。

アクセス権限は、発行より停止の手順を見る

アクセス権限では、アカウントの発行より停止のほうが問題になります。人が辞めた後や異動した後にアカウントが残ると、社内の情報を渡した先に、権限のない人が入れる状態が続きます。既存のIDと連携できるかどうかで、この手間は大きく変わります。

個人向けと法人向けで入力データの扱いが違う例

同じ提供元の同じ名前のサービスでも、個人向けと法人向けで入力データの扱いは違います。Googleの生成AIであるGeminiを例に、Googleの公式ページ(プライバシー ハブ)に書かれている内容を並べます(2026年10月1日に確認)。

確かめる点 Geminiの個人向けアプリ Google WorkspaceのGemini
人による確認 人のレビュアー(Googleが委託した事業者を含む)が会話の一部を読むことがある 会話とアップロードしたファイルを人のレビュアーが確認することはない
学習への利用 読まれた会話は、Geminiのモデルを含むGoogleのサービスの改善に使われる 許可や指示がない限り、顧客のデータをモデルの学習に使わない
利用者が変えられる設定 「アクティビティの保存」をオンにするかオフにするか、保存期間をどれだけにするか 管理者が組織として設定する
設定をオフにした場合 オフでも、応答と安全の確保のために会話は72時間アカウントに保持される ―

Geminiの個人向けアプリで起きること

個人向けアプリでは、アクティビティの保存がオンの間、入力した内容が人に読まれ、サービスの改善に使われることがあります。Googleは、レビュアーに見られたくない情報や、サービスの改善に使われたくない機密情報は入力しないよう求めています。社員が個人のGoogleアカウントで業務の資料を入力すれば、この扱いがそのまま当てはまります。

Google Workspaceで変わること

Workspaceの契約の中で使うGeminiでは、顧客のデータが許可なくモデルの学習に使われず、人のレビューも受けません。Googleは、Workspaceの顧客のコンテンツがほかの顧客のために使われることはないとしています。同じ「Gemini」でも、どのアカウントでログインして使うかで結論が変わるため、申請票にはサービス名だけでなくプラン名とログインに使うアカウントの種類まで書いてもらいます。

情シスが確認する12項目のチェックリスト

生成AIのセキュリティ審査で見る内容は、次の12項目に収まります。学習への利用、データの保存、アクセス権限、ログの保全、委託先の扱いの5つの区分に分かれています。申請が届いたら上から順に埋め、埋まらないものを空欄のまま残さず、満たせないときの扱いまで書きます。

区分 確認する内容 満たせないときの扱い
学習への利用 入力と出力を提供元のモデル学習に使わないことが、契約するプランの規約・条件のどの条項に書かれているか 条項を示せない場合は書面での回答を依頼し、回答が届くまで判断を保留する
学習への利用 学習に使わない設定を管理者が組織全体へ適用でき、利用者が個別に戻せない状態にできるか 利用者側で戻せる場合は、戻さないことを利用条件に書き、定期的に設定を確認する
学習への利用 規約やプランの条件が改定されたときに通知があるか。確認した版と日付を記録したか 通知が無い場合は、次に読み直す時期を審査記録へ書いておく
データの保存 入力したデータが保存される国・地域はどこか。地域を選べるプランがあるか 選べない場合は、個人データと取扱注意の情報を入力しない条件を付ける
データの保存 学習に使わない場合でも、不正利用の監視などの目的で保存されるものは何か。その保存期間はどれだけか 期間が示されない場合は不明のまま通さず、提供元へ照会する
データの保存 解約したときの削除の手順と、削除されたことを確認する方法があるか 手順が示されない場合は、契約前に削除の取り扱いを条項として詰める
アクセス権限 既存のIDと連携でき、退職・異動に合わせてアカウントを止められるか 連携できない場合は、停止を手作業で行う担当と手順を決めてから通す
アクセス権限 社内文書を参照させる場合、参照範囲が利用者の権限で絞られるか 絞られない場合は、参照させる範囲を全員が見てよい文書に限る
ログの保全 誰がいつ何を入力したかを管理者が取り出せるか。入力の中身まで取れるか 利用の有無しか取れない場合は、扱ってよい情報の区分を下げる
ログの保全 記録の保持期間が、社内で調査に必要な期間を満たすか 足りない場合は、定期的に書き出して自社側で保管できるかを見る
委託先の扱い 提供元が呼び出す外部のモデル提供者・基盤事業者はどこか。その所在国はどこか 開示されない場合は、個人データを含む使い方を対象から外す
委託先の扱い 再委託先まで同じ条件が及ぶか。委託先が変更されたときに通知があるか 及ばない場合は、法務と個人情報保護の担当を入れて契約条件を確認する

各行には、確認した日付と、根拠にした条項・規約の版を一緒に残します。次の更新のときや、同じ提供元の別サービスを審査するときに、読み直す範囲がそこまで絞れます。

3列目に出てくる「扱ってよい情報の区分」は、サービスごとに決めるものではなく、社内の利用ルールで先に決めておくものです。

ログの保全は、事故のときに答えられるかで見る

ログは、事故が起きたときに「誰が・いつ・何を入力したか」を答えられるかで判断します。管理者が見られる範囲が利用の有無だけなのか、入力の中身までなのかで、答えられることは大きく変わります。取得できても保持期間が短ければ、調査したい時期の記録は残っていません。

委託先は、提供元の先まで確かめる

委託先の扱いは、生成AIのサービスで確認が抜けやすい項目です。提供元が自社でモデルを持たず、別の事業者のモデルを呼び出している構成が多くあります。その場合、自社のデータは提供元より先へ渡ります。渡り先の名前と所在国、そこでの扱い、変更されたときに通知があるのかまでを質問に含め、提供元の最初の回答だけで終わらせません。個人データを含む場合は委託先の監督が求められるため、法務と個人情報保護の担当と一緒に判断します。

生成AIと社内文書のセキュリティ:読ませる範囲を権限で絞る

社内文書を検索させたり、ファイルを読み込ませて回答させたりする使い方では、12項目のうちアクセス権限の2つ目が分かれ目になります。

参照範囲が利用者の権限で絞られるか

全員が同じ範囲を見る構成だと、人事や経理の文書が、権限のない人への回答に混ざります。社内文書の置き場所に付いている閲覧権限を、生成AIの回答でも守れるかを確かめます。守れない場合は、読ませる範囲を全員が見てよい文書に限る条件で通します。

審査の対象をサービスではなく機能の単位で切る

同じサービスでも、標準の機能と、外部と接続する機能・ファイルを読み込ませる機能では、渡るデータの範囲が変わります。申請されたサービスをまとめて通すと、あとから追加された機能まで審査済みの扱いになります。審査の記録には、どの機能まで通したかを書きます。

審査で判断が割れやすい3つの論点

確認項目を固定しても、次の3つでは判断が割れます。先に社内の扱いを決めておくと、審査のたびに議論せずに済みます。

回答の根拠が伝聞になっている

「学習には使われないと聞いています」という申請は通せません。規約やデータ処理に関する条件のどこに書かれているかを示してもらいます。営業担当の口頭説明しかない場合は、書面での回答を依頼します。

無料プランでの試用がそのまま定着する

無料や低額のプランは、有料の法人プランと入力データの扱いが違うことがあります。試用のつもりで始めたものが、そのまま業務に定着する例は少なくありません。試用の段階でも、扱ってよい情報の範囲を条件として付けておきます。

既定で有効な設定をどう扱うか

入力したデータの二次利用を止める設定があっても、既定で有効なら、利用者が切り替えるまで有効のままです。管理者側で組織全体に適用できるかを確認し、できない場合は利用条件に設定の手順を書きます。

事業部に書いてもらう申請票の項目

審査が進むかどうかは、申請票の設計でほぼ決まります。12項目を埋めるために必要な情報を、事業部が答えられる言葉で聞きます。

申請票の項目 書いてもらう内容
使う業務 対象の業務と、月あたりのおおよその件数
入力する資料 実際に渡す資料の名前と、その情報の区分(社内限、取扱注意など)
使う人 部署と人数、権限を分ける必要があるか
出力の使い道 社内の検討資料までか、社外に出す文書に使うか
代わりの手段 社内で既に使えるサービスで代わりになるか、ならないならどこが足りないか
契約の形 プラン名、ログインに使うアカウントの種類、契約期間、費用、支払方法

審査の速さを決めるのは入力する資料の名前

審査の速さを決めるのは「入力する資料」の行です。「機密情報は入力しません」ではなく、渡す資料の名前まで書いてもらいます。名前が挙がれば、情報の区分は情シス側で当てられ、区分が決まれば確認すべき条件も決まります。

代わりの手段を書いてもらう理由

「代わりの手段」の行を入れておくと、通せなかった場合の会話が変わります。既存の環境で足りるならそちらへ寄せられますし、足りない点がはっきりすれば、別のサービスを探す材料になります。

生成AIサービスの申請から更新前の見直しまで 申請と一次確認、条件の確定と稟議、設定と配布、更新前の見直しの4段階で審査を進める流れ ・確認する項目は12項目に固定し、通す条件を決めてから稟議へ回す ・渡す資料が書かれていない申請は、可否を決めずに差し戻す 申請と一次確認 事業部の申請 ・使う業務 ・渡す資料の名前 情シスの一次確認 ・12項目を根拠つきで確認 条件と稟議 通す条件の確定 ・情報の区分・部署・機能 ・期間 稟議 ・費用と責任の所在を決裁 設定と配布 管理者の設定 ・学習に使わない設定 ・ID連携とログ 利用開始 更新前の見直し 規約とプランの確認 ・変わった項目を見る 審査記録の更新
確認する項目を12項目に固定し、通す条件を決めてから稟議へ回します。
書かれた内容が足りない申請は、可否を決めずに差し戻します。

審査の結果を条件付きで返す

審査の結果を可否の二択にすると、判断できないものが不可に寄ります。実際には、範囲を制限すれば通せるものが多くあります。

生成AIのセキュリティ審査で結果を決める流れ 学習への利用、保存先と保存期間、アカウントの停止とログの3つの問いに順に答え、保留・条件付きで通す・そのまま通すのどれにするかを決める ・上から順に答え、「いいえ」になったところで返し方が決まります 学習に使わない根拠を 条項で示せるか 保留して提供元へ書面で照会する ・回答が届くまで判断しない いいえ はい 資料の区分を保存先と 期間の条件で扱えるか 扱う情報の区分を下げて条件付きで通す ・個人データと取扱注意の情報は入力しない いいえ はい 退職時にアカウントを 止められるか 停止の担当と手順を決めて条件付きで通す ・利用する部署と人数を絞る いいえ はい 申請された範囲でそのまま通す ・更新の前に規約とプランを見直す
学習に使わない根拠を条項で示せないうちは、結論を出さずに保留します。
ほかの2つは、条件を付ければ通せることが多くあります。

返し方を3つに分ける

返し方を3つに分けておくと、事業部側でも次の動きを決められます。

  • 通す:申請された範囲でそのまま利用してよい
  • 条件付きで通す:扱う情報の区分、使う部署、使う機能、期間のいずれかを制限したうえで利用してよい
  • 通さない:満たせなかった条件と、代わりに使える経路を添えて返す

条件は後から確かめられる文で残す

条件付きで通す場合は、条件を口頭で伝えず、審査記録と申請への回答に文章で残します。「取扱注意の情報は入力しない」「外部と接続する機能は使わない」「3か月後に利用状況を確認する」のように、後から守られているかを確かめられる書き方にします。

稟議に添える資料の構成

稟議を読むのは情シスではなく、費用の決裁者です。技術的な説明を厚くするより、次の6点が揃っているかを見ます。

順番 項目 書くこと
1 何のために使うか 対象の業務と、今どれだけ手間がかかっているか
2 費用 初年度の総額、内訳(利用料、初期費用、教育にかかる社内の作業時間)、契約期間と解約の条件
3 効果の見込みと測り方 何をいつ測って判断するか。導入前の状態を記録しておくこと
4 リスクと対応 情報の取り扱い、誤った出力の扱い、想定される事故と対応の手順
5 審査の結果 情シスの確認が済んだ項目と、付いた条件
6 やめる条件 何が起きたら停止・解約するか、そのときの代わりの手段

効果の測り方とやめる条件を先に書く

効果の見込みは、導入後に説明を求められる箇所です。使い始めてから測り方を考えると、比べる相手がなくなります。やめる条件を先に書いておくと、決裁する側から見て後戻りできる提案になり、承認の負担が軽くなります。

差し戻される書き方と、そのまま通る書き方

差し戻されるのは、決裁者が金額と責任の範囲を自分で確かめられない書き方です。数量、時期、条件のどれかが抜けていると、質問を返すしかなくなります。

稟議の項目 差し戻される書き方 決裁者が判断できる書き方
目的 業務効率化のため 月◯件の資料作成で、1件あたり◯分かかっている下書きの工程を対象にする
費用 月額◯◯円 単価×利用人数×12か月の年額に、初期費用と教育の作業時間を足した初年度総額。契約期間と解約の条件も併記する
効果の見込み 大きな工数削減が見込める 導入前の所要時間を◯月に測って記録済み。3か月後に同じ測り方で比べ、その結果で継続を判断する
リスクと対応 セキュリティ面は確認済み 入力してよいのは社内限までで、取扱注意の情報は入力しない。出力は担当者が確認してから社外文書へ使う
審査の結果 情シス確認済み 12項目の確認が完了。外部と接続する機能は使わない条件付きで可(審査記録◯番、確認日◯月◯日)
やめる条件 (書かれていない) 3か月後の利用が◯人を下回る、または規約改定で学習への利用の条件が変わった場合は、いったん停止して再審査する

右の列に共通するのは、あとから同じ方法で確認できる形になっていることです。「効率化する」は達成したかどうかを誰も判定できませんが、「◯月に測った所要時間と3か月後を比べる」は判定できます。審査の結果も、条件と審査記録の番号を添えると、決裁者は情シスへ確認を戻さずに済みます。

部署単位の試用から全社契約へ切り替えるとき

一部の部署で使ってみて良かったので全社へ広げる、という流れでは、審査を通し直します。利用者の数が増えるだけに見えて、条件が変わるためです。

変わるところ 試用のとき 全社契約で追加になる確認
扱う情報 使う人が限られ、渡す資料も限られる 部署ごとに扱う情報が違う。取扱注意の情報を持つ部署が入る前提で条件を引き直す
アカウント管理 手作業で発行しても回る 既存のIDとの連携、入社・異動・退職に合わせた発行と停止の手順
権限の分離 全員が同じ範囲を見ても支障が出にくい 参照範囲を部署や役職で分けられるか。社内文書を読ませる場合は特に確認する
ログ 使った記録が追えれば足りる 保持期間、監査で求められる細かさ、調査の依頼を誰が受けるか
契約 月単位で解約できることが多い 年間契約、最低利用数、値上げの条件、解約時のデータ返却と削除
費用の負担 部署の予算で収まる 全社の予算科目、部署ごとの費用の割り振り、利用状況に応じた見直しの周期

見落としやすいのは権限の分離

試用の段階では問題にならなかった参照範囲が、全社へ広げると情報が漏れる経路になります。同じ部署の人が同じ資料を見ている間は目立ちませんが、部署をまたぐと、権限で絞られていない範囲がそのまま他部署の人に見えます。社内文書を参照させる構成では、切り替え前に確認します。

年間契約に切り替える前に決めること

年間契約に切り替わると、解約のしやすさが下がります。使われなくなった場合にどうするかを決めたうえで、契約期間を選びます。

生成AIのセキュリティ審査を運用として続ける

一度通したサービスも、条件は変わります。規約の改定、プランの変更、機能の追加、モデル提供者の入れ替えのどれでも、審査したときの前提は動きます。契約更新の前に、確認した12項目のうち変わったものがないかを見る時間を取ります。

審査の記録を1件1行で残す

続けるための負担を下げるには、審査の記録を蓄積する形にします。サービス名、確認した日付、根拠にした規約の版、判断と条件、次に見直す時期を1件1行で残します。同じ提供元の別サービスや、似た構成のサービスを審査するときに、前回の記録がそのまま使えます。

通っているサービスの一覧を事業部に見せる

どのサービスが通っていて、どの条件が付いているかが分かれば、事業部は申請の前に自分で確認できます。一覧が見えないと、既に使えるものがあるのに新しい申請が出てきます。

まとめ:生成AIのセキュリティ審査を通すための要点

  • 生成AIのセキュリティ審査は、学習への利用・保存先と保存期間・アクセス権限の3点から確かめる
  • 同じサービスでも個人向けと法人向けで入力データの扱いが違う。プラン名とログインに使うアカウントの種類まで申請票に書いてもらう
  • 残りは12項目のチェックリストで埋め、満たせないときの扱いまで空欄にせず書く
  • 社内文書を読ませる使い方では、参照範囲が利用者の権限で絞られるかを確かめる
  • 結果は可否の二択にせず、扱う情報・部署・機能・期間を制限した条件付きの形を用意する
  • 稟議には、費用、効果の測り方、審査の結果、やめる条件を、あとから同じ方法で確認できる書き方で並べる
  • 部署単位の試用から全社契約へ切り替えるときは、権限の分離、ログの保持期間、契約条件を確認し直す

Augueでは、生成AIの社内利用ルールづくりから、個別サービスの審査基準の整備、承認を人が持つ形での運用設計までを支援しています。審査で判断が止まっている案件や、試用から全社展開へ切り替える段取りでお困りの場合は、ご興味がある方は是非ご相談ください。

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よくある質問

セキュリティ審査にはどれくらいの期間がかかりますか?

一律の日数は出せません。かかった日数の内訳を記録すると見当が付きます。申請票の不足を埋めるやり取り、提供元へ問い合わせて回答を待つ時間、法務や情報管理の担当が見る時間の3つに分けて記録し、次の審査に使います。多くの場合いちばん長いのは提供元からの回答待ちなので、必要な質問はまとめて一度に送ります。

ISO/IEC 27001やSOC 2の報告書があれば、個別の確認を省略できますか?

省略はできません。第三者の認証や監査報告は、提供元が管理の仕組みを持っていることを示すもので、自社が契約するプランで入力データがどう扱われるかまでは決めません。学習への利用、保存先、保存期間は契約とプランで変わるため、認証の有無とは別に確認します。認証は、提供元の運用体制を毎回ゼロから聞き取る手間を減らす材料として使います。

データが海外のサーバーに保存される場合はどう扱いますか?

保存される国と、そこに置かれるデータの中身の両方で判断します。個人データを扱う場合は、外国にある第三者への提供として本人の同意や体制の確認が必要になることがあるため、法務と個人情報保護の担当を早い段階で入れます。個人データを含めない使い方に限る、保存先の地域を指定できるプランを選ぶ、といった条件付きで通す形も選択肢になります。

すでに使っている業務システムに生成AI機能が追加された場合も審査しますか?

審査します。契約済みのサービスでも、AI機能が別の提供元のモデルを呼び出していれば、データの渡り先が増えています。既存の契約書だけでは分からないため、機能の追加を知った時点で、渡す範囲と学習への利用、管理者側で機能を止められるかを確認します。既定で有効になる機能は、判断が終わるまで管理者側で止めておくと落ち着いて確認できます。

審査を通せなかったとき、事業部にはどう返しますか?

不可とだけ返すと、個人の契約で使われる形に流れます。通せなかった理由をどの条件が満たせなかったかで具体的に示し、同じ目的を果たせる別の経路を一緒に出します。扱う情報を落とせば通るのか、別のプランなら通るのか、社内に用意済みの環境で代替できるのかを示すと、事業部側で選び直せます。

社員が個人のアカウントで生成AIを業務に使っていた場合はどうしますか?

まず、何を入力したかを本人に聞き取ります。責める形にすると次から申告されなくなるため、入力した資料の区分を確かめることを優先します。取扱注意の情報や個人データが入っていれば、情報管理の担当と一緒に影響を見ます。そのうえで、同じ目的に使える法人契約の経路を案内し、個人のアカウントを業務に使わないことを利用ルールに書きます。

生成AIの審査は、一般的なクラウドサービスの審査と何が違いますか?

認証方式や障害時の対応など共通の項目は、既存の審査票をそのまま使えます。違うのは、利用者が入力した内容そのものが提供元に渡り、プランによってはモデルの改善に使われる点です。このため、学習への利用、監視目的の保存、提供元が呼び出す別のモデル提供者の3つを、既存の審査票に書き足す形が扱いやすくなります。

提供元への質問はどのようにまとめて送ればよいですか?

12項目のうち規約や公開資料で埋まらなかったものだけを、1通の質問票にまとめます。質問ごとに、契約予定のプラン名と、回答の根拠になる条項や資料の提示を求める一文を添えると、口頭の説明だけで返ってくることが減ります。回答は受け取った日付と一緒に審査記録へ貼り、次の更新のときに読み直す範囲を絞ります。