デジタル化・AI導入補助金2026は、2025年度までの「IT導入補助金」が2026年度から名称を変えた制度で、中小企業・小規模事業者がAIを含むITツールを導入する費用の一部を補助します。通常枠の補助額は5万円以上450万円以下、補助率は1/2以内が基本で、条件を満たせば2/3以内になります。
2026年9月26日時点の事務局の掲載をもとにした情報です。締切や要件は回ごとに変わるため、申請の前に事務局の事業スケジュールと公募要領で最新の内容を確認してください。
補助金は導入費用の負担を軽くしますが、どの業務を何に置き換えるかまでは決めてくれません。この記事では、制度の事実を公式情報に限って整理したうえで、AIツールの導入に使う前に社内で決めておくことを順に扱います。
デジタル化・AI導入補助金2026とは|旧IT導入補助金からの変更点
制度の目的は、中小企業・小規模事業者の労働生産性を上げることです。そのために、ソフトウェアやクラウドサービスといったITツールの導入費用を補助します。2026年度からは名称に「AI」が入り、AIを含むITツールの導入を支援する制度として案内されています。
名称は変わりましたが、申請の仕組みは旧IT導入補助金と同じ形を引き継いでいます。事務局に登録されたIT導入支援事業者と組んで申請し、登録されたITツールを導入するという流れです。自社だけで申請書を出して、好きなツールを買えば補助される制度ではありません。
公募要領は中小企業庁の公募要領公開ページに掲載されています。この記事で断定していない要件は、公募要領で確認してください。
AI導入補助金の申請枠|通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠・複数者連携
申請枠は次の4つです。AIツールや業務システムの導入で使うのは、多くの場合、通常枠です。
| 申請枠 | 類型 | 補助額・補助率 |
|---|---|---|
| 通常枠 | なし | 5万円以上450万円以下。補助率は1/2以内、条件を満たせば2/3以内 |
| インボイス枠 | インボイス対応類型と電子取引類型の2つ | 類型ごとに異なる。事務局サイトの各枠のページで確認 |
| セキュリティ対策推進枠 | なし | 事務局サイトの各枠のページで確認 |
| 複数者連携デジタル化・AI導入枠 | 複数の事業者が連携して申請する | 事務局サイトの各枠のページで確認 |
インボイス枠は、インボイス制度への対応や電子取引に関わるツールを導入するときの枠です。請求書の受け取りや登録番号の確認をAIで自動化したい場合は、通常枠とインボイス枠のどちらに当たるかを支援事業者に確かめます。
通常枠の補助額・補助率と対象経費
ここからは、AIツールの導入で使うことの多い通常枠の中身を、事務局の通常枠のページに沿って見ていきます。
補助額は業務プロセスの数で決まる
補助額の上限は、導入するツールが受け持つ業務プロセスの数で分かれます。
| 導入するツールが受け持つ業務プロセス | 補助額 |
|---|---|
| 1プロセス以上 | 5万円以上150万円未満 |
| 4プロセス以上 | 150万円以上450万円以下 |
業務プロセスとは、顧客対応・販売支援、会計・財務、在庫・物流、総務・人事・給与のような業務のまとまりのことです。450万円まで補助を受けるには、4つ以上の業務プロセスを受け持つツールの導入が前提になります。補助額の上限に合わせて導入する範囲を広げると、使われない機能にも費用を払うことになるため、範囲は業務の都合から決めます。
補助率が2/3以内になる条件
補助率は1/2以内が基本です。令和6年10月から令和7年9月までの間で3か月以上、令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇っている従業員が、全従業員の30%以上であることを示した場合は、補助率が2/3以内に上がります。
たとえば4プロセス以上を受け持つツールで導入費用が300万円なら、補助率1/2以内で最大150万円、2/3以内で最大200万円が補助の上限になります。2/3以内になるのは条件を満たすことを示した場合に限られるため、資金の計画は1/2で立てておくと外れません。
対象経費:クラウド利用料は最大2年分
対象経費は、必ず含めるソフトウェアの費用と、必要に応じて足すオプション・役務に分かれます。
- ソフトウェア(必須):ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)
- オプション:機能拡張、データ連携ツール、セキュリティ
- 役務:導入コンサルティング・活用コンサルティング、導入時の設定・マニュアル・導入研修、保守サポート
クラウド利用料が補助されるのは最大2年分です。月額で払うAIツールは、3年目以降の利用料を全額自社で払います。この点は、後の「使う前に決めること」で改めて扱います。
デジタル化・AI導入補助金のスケジュールと締切
冒頭で挙げた事務局の事業スケジュールには、次の日程が掲載されています(2026年9月26日時点)。
| 項目 | 通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠 | 複数者連携デジタル化・AI導入枠 |
|---|---|---|
| 申請の締切 | 2026年9月29日(火)17:00 | 2026年10月30日(金)17:00 |
| 交付決定 | 2026年11月9日(月)の予定 | 2026年12月10日(木)の予定 |
| ツールを導入できる期間 | 交付決定から2027年4月30日(金)17:00までの予定 | 交付決定から2027年5月31日(月)17:00までの予定 |
締切の17:00を1分でも過ぎると申請できません。申請は支援事業者とのやり取りを挟むため、締切の当日に書類を整える段取りは避けます。
通常枠の事業実績報告の期限も2027年4月30日17:00の予定です。交付決定からおよそ半年の間に、ツールの導入と報告まで終える必要があります。導入に時間のかかるツールを選ぶと、この期間に収まらないことがあります。
申請の流れ|IT導入支援事業者との共同申請
申請は、事務局に登録されたIT導入支援事業者との共同申請で進めます。大まかな流れは次のとおりです。
- 導入したい業務と、使うツールを決めるツールは、支援事業者が事務局に登録したものから選びます。
- IT導入支援事業者を選び、相談する導入したいツールの提供元に、支援事業者として登録しているか、どの支援事業者から導入できるかを確かめるところから始めます。
- 申請に必要な準備を済ませる解説サイトでは、gBizIDプライムの取得と、SECURITY ACTIONの宣言が要件として挙げられています。
- 支援事業者と共同で申請する申請の内容は支援事業者と相談しながら作ります。
- 交付決定のあとに導入し、実績を報告する導入を終えたら、期限までに事業実績報告を出します。
2回目以降に申請する事業者には賃上げの要件が加わる、とも解説サイトでは説明されています。3の要件と、導入後の報告の手続きは、細かな条件や時期も含めて公募要領で確認してください。
AI導入で補助金を使う前に決めること
補助金の申請は、導入すると決めた計画の最後の手続きです。順番を逆にして「補助金が出るうちに何か入れよう」と考えると、ツールを入れても業務が変わらず、導入後に効果を説明できなくなります。社内で先に決めておくのは次の4つです。
業務と数字と費用が決まっていれば、申請書の中身もそのまま書けます。
置き換える業務と工程を1つに絞る
最初に決めるのは、どの業務のどの工程をツールに任せるかです。「経理の効率化」のような大きな括りのままでは、ツールも選べず効果も測れません。「取引先から届いた請求書の内容を会計ソフトへ入力する工程」のように、何を何へ置き換えるかが一文で言える単位まで絞ります。
候補が複数あるなら、件数が多く、決まった手順で済む工程から選ぶと効果が出やすくなります。人の判断が要る工程は、ツールを入れても確認の手間が残ります。
導入前の処理時間と件数を測っておく
導入後に効果を示すには、導入前の数字が要ります。対象の工程について、1件あたりの処理時間と月の件数を、導入を決める前に記録しておきます。代表的な10件ほどを計り、件数は処理の履歴や台帳から直近3か月分を数えれば足ります。
この数字があれば、月あたりの削減時間と回収期間を導入前に試算できます。導入後は同じ測り方で比べるだけで、効果を数字で示せます。
導入前後の比べ方を決めておかないと、導入後に「使われているが、減ったかどうか分からない」状態になります。何を指標にし、いつ継続か中止かを判断するかも、この段階で決めておきます。
登録ツールで足りるか、作る必要があるかを見極める
補助の対象は登録されたITツールです。業務を一つに絞ったら、その工程を登録ツールの標準の機能でこなせるかを確かめます。自社の帳票の形式や社内の承認の流れに合わせるための作り込みが多いなら、登録ツールを入れても業務が変わらないことがあります。
作り込みが必要な場合でも、その費用が補助の対象になるかは公募要領とツールの登録内容で変わります。補助を前提に選ぶのではなく、業務に合うのは既製のツールか、自社向けに作るものかを先に決め、その結果として補助が使えるかを確かめる順にします。
クラウド利用料の補助が切れた3年目以降の費用を見込む
クラウド利用料の補助は最大2年分なので、3年目からは利用料の全額が自社の負担になります。稟議では、補助がある2年間の負担だけでなく、3年目以降の毎年の費用も並べて出します。
補助込みの金額だけで承認を取ると、3年目に予算が足りず、使い慣れたツールを止めるかどうかの判断を迫られます。外注で作る場合と社内で作る場合でも、初期費用と毎年の費用の比率が変わります。
まとめ:デジタル化・AI導入補助金2026は、業務と数字を決めてから使う
- デジタル化・AI導入補助金2026は旧IT導入補助金で、AIを含むITツールの導入費用の一部を補助する
- 申請枠は通常枠、インボイス枠(2類型)、セキュリティ対策推進枠、複数者連携デジタル化・AI導入枠の4つ
- 通常枠の補助額は5万円以上450万円以下で、業務プロセスの数で上限が分かれる。補助率は1/2以内、条件を満たせば2/3以内
- クラウド利用料の補助は最大2年分。3年目以降の費用は自社で払う
- 2026年9月26日時点の掲載では、通常枠などの次の締切は9月29日17:00、複数者連携デジタル化・AI導入枠は10月30日17:00。最新は事務局サイトで確認する
- 申請の前に、置き換える工程を1つに絞り、導入前の処理時間と件数を測り、ツールと3年目以降の費用を決めておく
Augueでは、AIエージェントの導入で、対象業務の選定と導入前後の効果測定の設計から、本番の運用に乗せるまでをご支援しています。ご興味がある方は是非ご相談ください。
よくある質問
AIの機能が入っていれば、どのツールでも補助の対象になりますか?
なりません。対象になるのは、IT導入支援事業者が事務局に登録したITツールです。通常枠では、顧客対応や会計、在庫管理といった業務プロセスを1つ以上持つソフトウェアであることが求められ、汎用的な機能だけのツール(汎用プロセスのみ)は対象外と事務局の通常枠のページに書かれています。使いたいツールが登録されているかは、導入を相談する支援事業者に確かめます。
9月29日の締切に間に合わない場合はどうすればよいですか?
次の回が設けられるか、いつ締め切られるかは、事務局の事業スケジュールのページに掲載されます。締切を追って準備を急ぐより、その間に対象業務を1つに決め、今の処理時間と件数を記録しておくほうが、次に申請するときの計画が具体的になります。無理に間に合わせて業務の選定が曖昧なまま導入すると、導入後に効果を説明できなくなります。
申請してから交付決定までは、どれくらいかかりますか?
2026年9月26日時点の事務局の掲載では、9月29日締切の回の交付決定は11月9日の予定で、締切からおよそ6週間です。交付決定のあと、ツールの導入と、事業実績報告を2027年4月30日17:00までに済ませる流れになります。補助金を受け取る時期や、契約・支払いをしてよい時期の決まりは、公募要領で確認してください。
補助金が採択されなかったら、導入は見送るべきですか?
補助金の有無で導入の是非を決めないほうが判断を誤りません。補助が無い場合の総額で投資対効果を出し、それでも回収できるなら進める、回収できないなら補助金があっても見送る、という順で考えます。補助金は、導入すると決めた計画の負担を軽くするものとして扱うと、採択の結果に計画が振り回されません。
社内に補助金やITに詳しい人がいなくても申請できますか?
申請はIT導入支援事業者との共同申請なので、手続きの進め方は支援事業者から案内を受けられます。ただし、どの業務に使うか、導入前の処理時間がどれくらいか、導入後に何で効果を測るかは、業務を知っている社内の人でなければ決められません。申請の窓口になる担当者1人と、対象業務を日々担当している人の2人は最低限確保しておきます。
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