AIエージェントは無料でも使えます。無料で使う方法は、ツールの無料プランを使う方法と、オープンソースのソフトを自社のサーバーで動かす方法の2通りです。どちらも試作や小さな業務の検証には足りますが、実行回数の上限やAIモデルの利用料があるため、業務で使い続けるなら、どこかの時点で有料プランか自社開発へ切り替えることになります。
この記事の料金と無料枠は2026年9月時点の情報です。各社が予告なく変えることがあるため、使う前にそれぞれのツールの公式の料金ページで最新の内容をご確認ください。
無料で使えるAIエージェントとは(無料プランとオープンソースの違い)
AIエージェントとは、目的を渡すと、必要な手順を自分で組み立て、検索や外部のツールの操作を続けて行うAIの仕組みです。ChatGPTのような対話型のAIが1回の質問に1回答えるのに対し、AIエージェントは調べる、まとめる、別のシステムへ書き込むといった作業を続けて進めます。
無料で使える形は、次の2つに分かれます。
| 無料で使う形 | 無料になる範囲 | 費用がかかる部分 |
|---|---|---|
| 無料プラン | 提供元のクラウドの画面で、決められた回数や個数まで使える | 上限を超えて使う分は有料プランへの切り替えが要る |
| オープンソース | ソフトそのものは無料で、自社のサーバーやパソコンで動かせる | AIモデルのAPI料金、サーバー代、設定と保守をする人の時間 |
無料プランは「上限つきのお試し」
無料プランは、アカウントを作ればすぐに使えます。サーバーを用意する必要がなく、ノーコードの画面で組めるツールが多いため、IT部門の手を借りずに試せるのが利点です。そのかわり、1日や1か月に使える回数、作れるエージェントの数、使えるAIモデルに上限があります。上限は各社が決めており、変わることもあります。
オープンソースは「ソフトは無料、AIの利用料は別」
オープンソースのソフトは、自社で動かす限りソフトの利用料がかかりません。ただし、ソフトが呼び出すAIモデル(OpenAIやAnthropicなどのモデル)のAPI料金は、使った量に応じて別に払います。「無料」なのはソフトの部分で、AIを動かす費用とサーバー代はかかると考えておくと、あとで見積もりが外れません。
無料で使える代表的なツールと無料枠
AIエージェントとして使えるおすすめのツールと、それぞれの無料枠を並べると次のようになります。
| ツール | 種類 | 無料で使える範囲 | ノーコードで組めるか |
|---|---|---|---|
| Dify(クラウド版) | チャットボット型・タスク自動化型 | 無料プランで200メッセージクレジット、アプリ5個、ナレッジの容量50MB | 組める |
| Dify(セルフホスト) | チャットボット型・タスク自動化型 | Community Editionは無料。AIモデルのAPI料金は別 | 組める |
| n8n(セルフホスト) | タスク自動化型 | ソフトの利用料はかからない。AIモデルのAPI料金とサーバー代は別 | 組める |
| Felo | 情報収集型 | プロ検索が1日5回、ファイルの分析が1日3ファイルまで。自分で作るエージェント(カスタムエージェント)は有料プランから | 組める |
| Taskade | タスク自動化型 | AIエージェント1個、登録時の6,000クレジット(毎月は補充されない) | 組める |
| Coze | チャットボット型 | 1日10クレジット。共同で編集できるボット・ワークフローは3個まで | 組める |
| Botpress | チャットボット型 | 月25会話、AIエージェント3個まで。上限を超えた分は買い足せない | おおむね組める |
| Auto-GPT | タスク自動化型 | ソフトは無料。OpenAIなどのAPI料金は使った分だけかかる | プログラムの知識が要る |
| Cursor | コーディング支援型 | 無料枠あり。エージェントの利用回数に制限があり、最新の高性能なモデルは有料プランから | プログラムを書く人向け |
表の値は、それぞれのツールの公式の料金ページで確かめたものです。各社が予告なく変えることがあるため、使う前に各ツールの料金ページで最新の内容を確かめてください。
種類は4つに分けると選びやすい
表の「種類」の列は、AIエージェントが得意な仕事で分けたものです。
- タスク自動化型は、決まった手順の作業を、ほかのシステムとつないで流します。Difyやn8n、Taskadeなどです
- 情報収集型は、Webや資料を調べ、要点をまとめて返します。Feloなどです
- チャットボット型は、社内の文書を読ませ、問い合わせに答えます。Dify、Coze、Botpressなどです
- コーディング支援型は、プログラムを書く人の作業を手伝います。Cursorなどです
社内の文書を検索して、その内容をもとにAIに答えさせる仕組みをRAG(検索拡張生成)と呼びます。チャットボット型のツールの多くは、文書を登録するだけでRAGを組めます。ただし無料プランでは登録できる文書の容量が小さいため、規程集や手順書を丸ごと入れるより、よく聞かれる質問に関係する数ファイルに絞って試すのが現実的です。
n8nはセルフホストならソフトの利用料がかからない
n8nは、フォームの受信や定時の起動をきっかけに、表計算シート・チャット・業務システムの間でデータを受け渡すワークフロー自動化のツールで、途中でAIを呼び出してAIエージェントとして動かせます。無料版を自社のサーバーで動かす場合、ソフトの利用料はかかりません。API連携の部品が多く、つなぐ先のシステムが多い業務で試しやすい道具です。
目的別の選び方
AIエージェントの無料のおすすめは、何を任せたいかで変わります。まず目的で絞り、そのあとで確かめる点を見ていきます。
調べものや資料の要約を任せたい
市場や取引先の情報を集める、長い資料の要点をまとめるといった作業は、情報収集型のツールが向いています。1日に何回か使う程度なら、無料プランの回数の上限に収まることが多いです。出典のページを必ず表示するツールを選ぶと、AIが書いた内容を人が確かめやすくなります。
社内の問い合わせに一次回答させたい
社内規程や手順書への質問に答えさせるなら、チャットボット型のツールで、文書を登録してRAGを組めるものを選びます。無料プランの回数は、社内の数人で試す程度で尽きることがあります。試す前に、1日に何件くらいの質問が来るかを数えておくと、無料枠で足りるかを判断できます。
決まった手順の業務を試しに自動化したい
メールで届いた注文を表に転記する、定時にデータを集めてチャットへ知らせるといった作業は、タスク自動化型のツールを使います。今使っている表計算シートやチャットのツールと、追加のプログラムなしでつなげるかを最初に確かめます。つなげない場合は、プログラムの知識のある人の手が要ります。
どの目的でも確かめる5つの点
目的でツールを絞ったら、次の5つを確かめてから使い始めます。
| 確かめる点 | 何を見るか |
|---|---|
| 目的に合っているか | 任せたい作業が、そのツールの得意な種類に入っているか |
| ノーコードと日本語 | 画面の操作だけで組めるか、日本語の文書や質問で精度が落ちないか |
| 使っているツールとの連携 | 表計算シート・チャット・業務システムとつなぐ部品があるか |
| 入力したデータの扱い | 入力した内容がAIの学習に使われるか、使わせない設定があるか |
| 無料枠の上限と有料への移りやすさ | 上限を超えたときに、作ったものをそのまま有料プランへ移せるか |
なかでも見落としやすいのは、入力したデータの扱いです。学習に使わせない設定が無料プランで選べないツールは、業務のデータを使う試用には向きません。
無料で試す手順(小さな業務1つで、成果と所要時間を測る)
無料枠で試すときは、業務を1つに絞り、手作業と比べて何分短くなったか、出力がどれだけ当たったかを測ります。測らずに「便利そうだった」で終えると、有料プランへ進むかどうかを決める材料が残りません。こうした小さな検証をPoC(概念実証)と呼びます。
測った結果を見てから、有料・自社開発・中止のどれに進むかを人が決めます。
- 件数が多く、間違えても戻せる業務を1つ選ぶ社内向けの資料の要約、社内の問い合わせへの回答の下書き、公開情報の収集のように、AIの出力を人が確かめてから使える業務から始めます。取引先へ直接送る、会計の数字を書き換えるといった業務は、最初の題材にしません。
- 今のやり方で何分かかっているかを先に測る1件あたりの作業時間と、1日や1か月の件数を記録します。これが無いと、AIを使ったあとの時間と比べられません。
- 無料枠のツールで試作する社外秘や個人情報を含まない、架空のデータや公開されている情報で組みます。目的別の選び方で絞ったツールを1つか2つ使い、同じ題材で比べます。
- 実際の作業の流れで2〜4週間使い、結果を記録する1件ごとに、そのまま使えたか、人が直したか、使えなかったかを記録し、作業時間も測ります。無料枠の上限に何日目で達したかも書き留めます。
- 結果を見て、次に進むかを決める手作業と比べてどれだけ時間が減ったか、何割の出力がそのまま使えたかを見て、有料プランへ切り替えるか、自社開発へ進むか、題材を変えるかを決めます。
どれくらいの割合で出力が当たれば業務に使えるかは、業務によって違います。合格の基準は試す前に決めておくと、結果を見てから基準を動かすことを防げます。
無料で使うときの注意点(学習への利用設定・実行回数の上限・機密情報・出力の確認)
AIエージェントを無料で使うときに気をつけることは、次の4つです。
| 注意する点 | 起きやすいこと | 試す前にすること |
|---|---|---|
| 学習への利用設定 | 無料プランでは、入力した内容がAIの学習に使われる設定になっていることが多い | 設定画面で学習に使わせない設定を選ぶ。選べないツールには業務のデータを入れない |
| 実行回数の上限 | 試している途中で上限に達し、数日止まる。最新のモデルが使えない | 1日の件数と1件あたりの実行回数を掛け、上限に収まるかを先に計算する |
| 機密情報と個人情報 | 顧客名や契約の中身を入れ、情報漏洩につながる | 入れてよいデータと入れないデータを決め、試す人全員に伝える |
| 出力の確認 | もっともらしい誤り(ハルシネーション)をそのまま使ってしまう | 出力を人が確かめてから使う流れにし、確かめる人を決めておく |
学習に使われる設定と情報漏洩
無料プランでは、入力した内容がサービスの改善やAIの学習に使われる設定が初めから選ばれていることがあります。学習に使われた内容は、あとから取り消せない場合があるため、社外秘の情報は設定を確かめる前に入れないようにします。設定を確かめたうえでも、顧客の個人情報や契約の中身は、無料枠で試す段階では入れないのが安全です。
実行回数の上限は業務の件数で見積もる
無料枠の上限は「1日5回」「月25会話」のように書かれていますが、1件の処理で何回分を使うかはツールによって違います。AIエージェントは1件の作業の中で、検索と要約と書き込みのように何度もAIを呼ぶことがあり、思ったより早く上限に達します。試作の段階で、1件の処理が上限の何回分にあたるかを確かめておきます。
出力は人が確かめてから使う
ハルシネーションは、無料か有料かに関係なく起きます。数字、日付、人名、社内の規程の条文のように、間違えると困る項目は、元の資料と照らして人が確かめます。
個人のアカウントでの利用がシャドーAIになる
担当者が個人のアカウントで無料のツールを試し、そのまま業務で使い続けると、会社が把握していないAIの利用(シャドーAI)になります。どのデータがどこへ送られたかを追えなくなるため、試す段階から、ツールの名前と入力するデータの種類を情シスへ伝えておきます。社内の利用ルールが無ければ、この機会に決めておくと、ほかの部署が試すときにも使えます。
有料や自社開発へ切り替える判断
無料で試した結果、業務で使い続ける価値があると分かったら、有料プランへ切り替えるか、自社開発へ進むかを決めます。無料枠のままで業務を回し続けることはせず、測った結果をもとに、どこで切り替えるかを先に決めておきます。
| 試した結果 | 進む先 | 理由 |
|---|---|---|
| 出力は使えるが、無料枠の上限や使えるモデルだけが足りない | 同じツールの有料プラン | 作ったものをそのまま移せ、追加で作る手間が小さい |
| 社外秘のデータを扱う必要がある | 学習に使わない契約の有料プランか、セルフホスト | 無料プランのままでは、データの扱いについて会社として約束が取れない |
| 社内の複数のシステムにつなぎ、書き込みまでさせたい | 自社開発か、セルフホストのツールで作り込む | 既製のツールのつなぐ部品だけでは、権限や例外の扱いが足りないことが多い |
| 手作業と比べて時間が減らない、出力の多くを人が直している | 題材を変えるか、やめる | 有料にしても精度は大きく変わらないことが多く、費用だけが増える |
有料プランへ切り替えるときに見る費用
有料プランの料金は、月額の固定費に加えて、実行回数やAIへの問い合わせの回数で増えることがあります。試した期間に記録した1件あたりの実行回数に、本番の月の件数を掛けて、どのプランに収まるかを計算します。セルフホストを選ぶ場合は、サーバー代とAIモデルのAPI料金に加えて、設定や更新をする人の作業時間も費用として数えます。
自社開発へ進むのはどんなときか
既製のツールで試して効果が見えたあと、社内の業務システムへの書き込みや、部署ごとの閲覧権限を細かく守る必要が出てきたら、自社開発を検討します。自社開発は初期の費用がかかる一方で、処理の流れやデータの置き場所を自社で決められます。無料で試した記録(作業時間、出力の当たり外れ、つまずいた箇所)は、開発を依頼するときの要件の元になるため、捨てずに残しておきます。
試作は動いたのに、そこから先へ進まないまま止まる例も少なくありません。本番に載せるか、やめるかを決める条件も、試す前に決めておくと判断が早くなります。
まとめ:AIエージェントは無料枠で1業務を測ってから、有料か自社開発かを決める
- AIエージェントを無料で使う方法は、無料プランとオープンソースの2通り。オープンソースはソフトが無料でも、AIモデルのAPI料金とサーバー代はかかる
- Difyのクラウド版の無料プランは200メッセージクレジット・アプリ5個・ナレッジ容量50MB、セルフホスト版は無料。ほかのツールの無料枠は変わりやすいため、使う前に公式の料金ページで確かめる
- ツールは、調べもの・問い合わせの一次回答・決まった手順の自動化のどれを任せたいかで絞る
- 無料で試すときは、業務を1つに絞り、手作業と比べた時間と出力の当たり外れを2〜4週間測る
- 学習への利用設定、実行回数の上限、機密情報、出力の確認の4点に気をつけ、試す段階から情シスへ伝える
- 上限だけが足りなければ有料プラン、社内システムへの書き込みや権限の管理が要るなら自社開発、時間が減らなければ題材を変える
Augueでは、無料や既製のツールで試した結果をもとに、本番で使うAIエージェントの設計と開発、社内で運用を続けるための体制づくりまでを支援しています。試した業務を有料プランで続けるか、自社開発へ進むかの判断に迷っている方は、是非ご相談ください。
よくある質問
無料枠での試用は、どれくらいの期間を見込めばよいですか?
対象の業務を1つに絞れば、2〜4週間が一つの目安です。最初の1週間で試作を作り、残りの期間で実際の書類や問い合わせを流して、出力の当たり外れと所要時間を記録します。月末だけ発生する作業のように件数が偏る業務は、少なくとも1回の締めをまたいで測らないと、手作業と比べた差が出ません。
会社で無料のAIエージェントを試すとき、情シスには何を伝えればよいですか?
使うツールの名前と提供元、個人のアカウントか会社のアカウントか、入力するデータの種類、入力内容が学習に使われない設定にしているか、試す期間の5点を伝えます。社外秘や個人情報を入れない前提でも、あとから業務で使い続けることになったときに審査をやり直さずに済むよう、試す前に一度共有しておくと手戻りが減ります。
オープンソースのAIエージェントを使うと、AIモデルのAPI料金は月にいくらかかりますか?
一律の金額は出せません。料金は、AIに渡す文章と返ってくる文章の量で決まるためです。試用の期間中に1件あたりの処理でAIを何回呼び、どれだけの文章をやり取りしたかを記録し、使ったモデルの料金表の単価を掛けて1件あたりの費用を出します。それに月の件数を掛ければ、本番で使ったときの月額を見積もれます。
ChatGPTの無料版と、無料のAIエージェントは何が違いますか?
ChatGPTのような対話型のAIは、人が質問するたびに答えを返します。AIエージェントは、目的を渡すと手順を自分で組み立て、検索や外部のツールの操作を続けて行います。1回の質問で済む調べものや文章の下書きなら対話型のAIで足ります。毎回同じ手順を繰り返す作業や、複数のシステムにまたがる作業を任せたいときにAIエージェントを試す意味があります。
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