Manus AIの危険性は、入れた情報の保存先と運営会社、連携したアカウントに与える権限、外部の文章に仕込まれた指示、誤った出力の5つに分けて考えると判断しやすくなります。結論として、公開情報だけで完結し、人が結果を確かめられる業務なら会社で使ってよい一方、個人情報・認証情報・営業秘密は入れず、メールやドライブとの連携は権限を絞って承認制にします。社員から「Manusを使いたい」と言われた情シス・管理部門が、使ってよい業務と入れてはいけない情報を決められるように整理しました。

この記事の答え

  • 公開情報の調査や要約のように、人が結果を確かめられる業務なら使ってよい
  • 個人情報・認証情報・営業秘密を入れるか、メールやドライブと連携するかが分かれ目
  • 契約の相手と保存先を規約で確かめ、使ってよい業務と連携の承認の手順を社内ルールに書き足す

2026年10月時点の情報です。運営の体制や保存先は変わることがあるため、最新の内容はManusの公式サイトのお知らせとヘルプセンターでご確認ください。

Manus AIは安全か|会社で使ってよいかの結論

Manus AIは、扱う情報と任せる操作を絞れば会社で使える道具ですが、何も決めずに使ってよいほど安全ではありません。Manusは、指示を小さな作業に分け、Webの調査やプログラムの実行、連携したサービスの操作までを自分で進める自律型のAIエージェントです。人が入れた文章に答えるだけのAIより手の届く範囲が広いぶん、入れる情報と許す操作を先に決めておく必要があります。

Manusを使ってよいかは、ツールの評判ではなく「入れる情報」と「連携で許す操作」の2点で決まります。公開情報を調べてまとめるだけなら、情報漏えいの心配は小さく、結果も人が確かめられます。反対に、顧客の個人情報や社内の機密情報を入れる業務、メールの送信やファイルの削除までを任せる業務は、Manusに渡す前に止めるか、承認の手順を挟みます。

Manus AIの危険性は5つに分けて考える

Manus AIの危険性は、データの扱い、運営会社、連携とアクセス権限、外部の文章に仕込まれた指示、誤った出力の5つです。それぞれ何が起きうるかと、会社で先に決めることを並べます。

危険の種類 何が起きうるか 会社で先に決めること
データの扱い 入れた情報が社外のサーバーに保存され、学習に使われる条件も社内の基準と合わないおそれがある 入れてよい情報の区分と、保存先・学習への利用の条件
運営会社 契約の相手や適用される法律が、会社の取引の基準と合わないおそれがある 契約の相手の事業体と、どの国の法律に従うか
連携とアクセス権限 メールやドライブをつなぐと、Manusが読める・操作できる範囲が一気に広がる 連携してよいサービスと、許す操作(読み取りだけか、送信・削除もか)
仕込まれた指示 読み込んだメールやWebページに紛れた指示で、Manusが意図しない操作をする 外部の文章を読ませる業務で、連携を外すか承認を挟むか
誤った出力 もっともらしい誤り(ハルシネーション)が、そのまま資料や判断に使われる 誰が、何と照らして出力を確かめるか

データの保存先と削除、学習への利用

Manusは、データを米国とシンガポールに保存しているとしています。2026年8月11日のお知らせで、Manusは保存先をこのように説明しました。同じお知らせでは、2025年12月29日以降に一部の利用者が作ったデータを、2026年8月23日〜24日(シンガポール時間)に削除するとし、データ漏えいやセキュリティ事故によるものではないと説明しています。運営の体制が変わると、利用者のデータの扱いも変わることがあるという例です。

入力したデータがAIの学習に使われるかどうかは、この記事では断定しません。会社で使う前に、Manusのプライバシーポリシーと設定画面で、学習への利用の有無と、利用を止める設定があるかを確かめてください。確かめられない間は、学習に使われても困らない情報だけを入れる前提で業務を選びます。

運営会社とMetaとの関係、契約の相手の確かめ方

Manusの運営会社は、Metaに買収されたあと、Metaから分離して独立企業として運営を再開するとしています。Manusの2026年8月11日のお知らせによると、MetaによるManusの買収は2025年12月29日でした。運営会社が短い期間で買収と分離を経ているため、契約したときの相手と今の相手が同じとは限りません。

運営会社を見るときは、国名だけで判断しないことが大切です。どの事業体と契約を結ぶのか、データをどの国に保存するのか、学習への利用はどういう条件かを、利用規約とプライバシーポリシーで確かめます。

連携したアカウントで起きるManusの危険性|権限・仕込まれた指示・誤った出力

Manusの危険性のうち、連携したアカウントと出力にかかわる3つは、使い方の決め方しだいで大きさが変わります。

連携とアクセス権限が広がる危険

Manusにメールやドライブを連携すると、Manusが読めるもの・操作できるものが、つないだアカウントの権限まで広がります。人が手で貼り付けた文章だけを扱う使い方なら、漏れる範囲は貼った文章に限られます。連携すると、受信箱の全体やドライブの全ファイルが、Manusの作業の対象になりえます。連携するときは、読み取りだけに絞れるか、送信や削除に人の承認を挟めるかを先に確かめます。

外部の文章に仕込まれた指示(プロンプトインジェクション)

外部の文章に紛れた指示でAIを操る攻撃は、プロンプトインジェクションと呼ばれ、Manusでも実際に連携先の認証情報まで届いた報告があります。セキュリティ研究のSalt Labsは2026年10月1日、メール1通に難読化したコードを仕込んだ実験を公表しました。利用者がManusに受信箱の確認を頼むだけで、Manusの作業環境でそのコードが動き、連携したGmailのOAuthトークン(連携のための認証情報)や、GoogleドライブやGitHubなど他の連携先の認証情報にも届いたとしています。

Salt Labsによると、Manusの保護機能は危険を検知したものの、警告が出たのはコードが動いた後でした。問題はすでに修正済みで、報告はMetaのバグ報奨制度へ出されたとしています。修正済みとはいえ、外部から届いた文章をAIに読ませる業務では、同じ型の攻撃が別の形で起きうると考えておくほうが安全です。メールやWebページを読ませる業務では、連携を外すか、送信・削除などの操作に人の承認を挟みます。

誤った出力(ハルシネーション)

Manusの出力には、もっともらしい誤りが混ざることがあります。生成AIに共通する性質で、Manusのように調査から資料づくりまでを一気に進める道具では、途中の誤りに気付きにくくなります。出力を社外に出す前や判断に使う前に、元の資料と照らして確かめる担当を決めておきます。

チームで使うときに管理者・オーナーが見られる範囲

チームプランでは、オーナーがメンバーのタスクの手順と中身を見られ、書き出す(エクスポートする)こともできます。Manusのヘルプによると、個人のアカウントのタスクは既定で本人以外には見えず、チームプランでは管理者も一部を見られるとしています。

アカウントの種類 タスクの中身を見られる人
個人のアカウント 既定では本人だけ
チームプラン 本人に加え、オーナーは手順と中身を見て書き出せる。管理者は一部を見られる

会社の管理に向くのはチームプラン

会社として利用の中身を確かめたいなら、個人のアカウントではなくチームプランで使います。個人のアカウントで業務の情報を扱われると、何が入力されたかを会社が後から確かめる手段がありません。一方、チームプランのオーナーはメンバーの作業の中身を見られるため、オーナーを誰にするかは社内で決めておく必要があります。人事の情報のように、オーナーにも見せたくない情報は、そもそもManusに入れない運用にします。

アカウントの削除と保存期間

アカウントを削除すると中身は削除されますが、一部の個人情報は残ります。Manusのヘルプでは、法令・会計・不正防止のために、一部の個人情報を必要な期間だけ残すとしています。チームプランでは、保存期間をオーナーや管理者が決められます。社員が辞めたときや利用を止めたときに、誰がアカウントを削除し、保存期間をどう設定するかも決めておきます。

Manusを使ってよい業務・避ける業務|機密度と確かめやすさで分ける

Manusを使ってよい業務かどうかは、入れる情報の機密度と、出力を人が確かめられるかの2つで分けます。

機密度と確かめやすさで分けた業務の一覧

業務の種類 入れる情報の機密度 人が結果を確かめられるか 扱い
公開情報の調査・要約 低い(公開情報だけ) 確かめられる(元のページと照らせる) 使ってよい
公開情報をもとにした資料のたたき台 低い(公開情報だけ) 確かめられる(担当者が手直しする) 使ってよい
社内向けの文章の下書き 中くらい(社外秘を含みうる) 確かめられる 社外秘を抜いた形でだけ使う
結果を確かめにくい大量の調査 低い 確かめにくい(件数が多く全部は見られない) 抜き取りで確かめる手順を決めてから使う
顧客の個人情報を扱う作業 高い(個人情報) 業務による 使わない
契約書・設計図・未公開の数字を扱う作業 高い(営業秘密) 業務による 使わない
パスワードやAPIキーを使う作業 高い(認証情報) 業務による 使わない

公開情報だけで完結する業務は、情報漏えいが起きても困る情報がもともと含まれず、出力も元のページと照らせば確かめられます。機密度が高い業務は、確かめやすさに関係なくManusに渡しません。機密度が低くても、件数が多くて人が全部を確かめられない業務は、抜き取りで確かめる件数と担当を決めてから使います。

業務ごとに迷ったときは、入れる情報、確かめやすさ、連携の要否の順に問いを当てます。最初に右へ抜けたところが、その業務の扱いです。

Manusにその業務を任せてよいかの判断 入れる情報、結果を人が確かめられるか、連携が要るかの3つの問いで、Manusに任せる業務かどうかを決める ・上から順に答え、最初に右へ抜けたところで扱いが決まります 個人情報・認証情報・ 営業秘密を入れる必要 があるか Manusでは扱わない ・自社の管理下で動く仕組みを検討する はい いいえ 出力の正しさを人が確 かめられるか 任せない ・人が確かめられる形に業務を切り直す いいえ はい メールやドライブとの 連携が要るか 申請と承認を経て使う ・読み取りだけに絞る ・送信・削除は人が承認する はい いいえ 公開情報の調査・要約に使ってよい ・結果は人が確かめてから使う
入れる情報に個人情報・認証情報・営業秘密が含まれるかが最初の分かれ目です。

社内ルールの判定表に書き足す

使ってよい業務の線引きは、Manusだけの決まりにせず、生成AI全体の社内ルールにある入力可否の判定表へ1行足す形で書くと運用しやすくなります。判定表の情報区分(公開・社外秘・個人情報など)ごとに、Manusで扱ってよいかと連携の可否を書き足します。

メールやドライブの連携を承認するときの確認項目

メールやドライブの連携は、申請を受けて情シスが承認する形にし、承認の前に次の5点を確かめます。

順番 確かめること 確かめる理由と、通す条件
1 連携するサービスが、その業務に本当に必要か 公開情報の調査だけなら連携は要らない。連携が要る理由を申請に書いてもらう
2 許す操作を読み取りだけに絞れるか 送信・削除・共有の変更まで許すと、仕込まれた指示で操作されたときの被害が大きくなる
3 送信や削除の前に人が承認する手順があるか Manusが下書きを作り、送るかどうかは人が決める形なら通す
4 連携するアカウントにどんな情報が入っているか 個人情報や機密情報が大量に入った受信箱やドライブは、読み取りだけでも連携しない
5 使い終わったときに連携を外す担当と時期が決まっているか 試しにつないだ連携が残ると、誰も使っていないのに権限だけが残る

連携の承認は、生成AIサービスのセキュリティ審査と同じ流れに乗せると、申請の受け方や稟議の書き方を新しく作らずに済みます。審査の項目に「連携先と許す操作」を足しておくと、Manus以外のAIエージェントを申請されたときにも同じ基準で判断できます。

Manusの安全性を契約前に規約で確かめること

Manusの安全性を契約前に確かめるときは、評判や報道ではなく、利用規約・プライバシーポリシー・設定画面の3つを読みます。確かめる項目は次の5つです。

確かめる項目 どこで確かめるか 何を見るか
契約の相手 利用規約 運営会社は買収と分離を経ているため、今どの事業体と契約を結ぶのか
データの保存先 プライバシーポリシー・公式のお知らせ 2026年8月のお知らせでは米国とシンガポール。社内の基準で保存先の国に条件があるなら照らし合わせる
学習への利用 プライバシーポリシー・設定画面 入力したデータを学習に使うか、使わない設定があるか
削除と保存期間 ヘルプセンター・チームの設定画面 アカウントを消したときに何が残るか、チームプランで保存期間をどう設定するか
共有と閲覧の範囲 ヘルプセンター タスクを誰が見られるか、チームのオーナーと管理者に何が見えるか

規約で条件が確かめられない項目が1つでもあれば、その項目にかかわる情報は入れない前提で業務を選びます。

機密を扱う業務は自社の管理下で自動化する

個人情報や機密情報を扱う業務を自動化したいなら、Manusのような外部の汎用エージェントではなく、データを自社の管理下に置いたまま動く仕組みを選びます。社内の環境で動かし、読めるデータと許す操作を業務に必要な分だけに絞ったAIエージェントなら、保存先も権限も自社で決められます。たとえば、社内の文書を検索して答える仕組みなら、部署ごとの閲覧権限を保ったまま動かす設計ができます。

外部の汎用エージェントは公開情報の調査や下書きに使い、機密を扱う業務は自社の管理下で作ったエージェントに任せる、という使い分けにすると、両方の良さを取りやすくなります。社内で作ったエージェントが部署ごとに増えてきたら、誰が管理し、いつ止めるかの決まりも要ります。

まとめ:Manus AIの危険性は、入れる情報と連携の権限で抑える

  • Manus AIの危険性は、データの扱い、運営会社、連携とアクセス権限、仕込まれた指示、誤った出力の5つに分けて考える
  • 公開情報だけで完結し、人が結果を確かめられる業務なら使ってよい。個人情報・認証情報・営業秘密は入れない
  • Manusはデータを米国とシンガポールに保存しているとしており、運営会社はMetaによる買収のあと分離して独立企業として運営を再開するとしている
  • メール1通に仕込んだ指示で連携先の認証情報まで届いた報告があり、問題は修正済みでも、連携は読み取りだけに絞り、送信や削除は人が承認する
  • チームプランではオーナーがメンバーのタスクの中身を見られる。会社で使うならチームプランにし、オーナーを決める
  • 契約前に、契約の相手の事業体、保存先、学習への利用の条件を規約と設定画面で確かめる

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よくある質問

社員が個人のアカウントでManusを使っていた場合、まず何をすればよいですか?

個人のアカウントのタスクは既定で本人にしか見えないため、会社から中身を確かめる手段がありません。まず本人に、業務の情報を入れたか、メールやドライブなどを連携したかを聞き取ります。連携していた場合は、Manus側で連携を外し、つないでいたアカウントのパスワードやアクセスの許可を見直します。そのうえで、続けて使う業務があるなら会社の管理するアカウントへ移し、無ければ利用を止めてもらいます。

ChatGPTのような対話型の生成AIと比べて、Manusの危険は何が違いますか?

対話型の生成AIは、主に人が入れた文章に答えを返すだけです。Manusは指示を受けると、自分でWebを調べ、作業用の環境でプログラムを動かし、連携したサービスを操作します。読み込んだ外部の文章に悪意のある指示が紛れていた場合、答えが間違うだけでなく、連携先のデータに手が届くおそれがあります。審査では、入力する情報に加えて、Manusに何をさせるかと、どこまで操作を許すかも見る必要があります。

社内でManusを一律に禁止したほうが安全ですか?

一律の禁止は、扱う情報の線引きが決まるまでの間の措置としては有効です。ただ、禁止だけを続けると、社員が個人のアカウントで使い始めても会社から見えなくなります。公開情報の調査や要約のように危険の小さい業務から使える範囲を決め、それ以外は申請制にするほうが、利用の実態をつかみやすくなります。禁止するかどうかよりも、誰がどの業務で使っているかを把握できる形にすることを先に考えます。

社内で使ってよいかを決めるまで、どれくらいの期間がかかりますか?

一律の期間は出せません。規約とプライバシーポリシーの確認、契約の相手の事業体の確認、試す業務の選定、試した結果の確認と、作業ごとに担当と期限を置くと見通しが立ちます。規約の確認で、保存先や学習への利用の条件が社内の基準に合わないと分かれば、その時点で見送りを決められます。試す業務を公開情報だけで済むものに絞れば、確認の範囲が小さくなり、判断までの期間も短くなります。