AI診断(AIチェッカー)とは、文章や画像がAIで作られた可能性を「AIの可能性80%」のようなスコアで示す道具です。医療の画像診断や性格診断のことではなく、生成AIで書かれた文章かどうかを調べるAI判定を指します。無料で試せるツールが多く、日本語の文章も判定できますが、人が書いた文章をAI製と判定する誤判定が避けられないため、スコアは参考に留め、合否や処分の根拠には使いません。

この記事の答え

  • AI診断は、文章の予測しやすさや文のばらつきから、AIが書いた可能性を推し量ってスコアで示す
  • スコアは確率の目安で証拠にはならず、確実に確かめたいときは電子透かしや来歴情報を使う
  • 社内で使うなら、判定は一次の確認に限り、書き手に執筆の経緯を聞く手順をルールに入れる

この記事の内容は2026年10月時点の情報です。SynthIDとC2PAの内容は、2026年10月8日にGoogle DeepMindのSynthIDのページとC2PAの公式サイトで確かめました。

AI診断とは|AIチェッカー・AI判定ツール・AI検出ツールの関係

別名と、判定できる対象

AIチェッカーは、AI判定ツール、AI検出ツール、AIコンテンツ検出器などとも呼ばれ、どれも同じ種類の道具を指します。文章を貼り付けると、AIが書いた可能性を割合で返すのが基本の使い方です。ツールによっては画像や音声も対象にしますが、検索して使われているものの多くは文章の判定です。

コピペチェックとの違い

コピペチェックは、文章がWeb上の既存のページと一致していないかを調べる道具です。AIチェッカーは一致する元の文章を探すのではなく、文章の書きぶりからAIらしさを推し量ります。AIで書いた文章は既存の文章と一致しないことが多いため、コピペチェックを通ってもAI製でないとは言えません。逆に、人が書いた文章でも他のページの丸写しならコピペチェックで見つかります。目的が違うので、記事の原稿確認では両方を使い分けます。

AIチェッカーが判定する仕組みとスコアの読み方

予測しやすさ(パープレキシティ)と文のばらつき

多くのAIチェッカーは、次の2つの手がかりを組み合わせて判定します。

  1. 予測しやすさ(パープレキシティ)言語モデルから見て、次に来る語がどれだけ予想どおりかを表す値です。AIは確率の高い語を選んで文章を作るため、AIの文章は予想どおりの語が続き、この値が低く出ます。
  2. 文のばらつき文の長さや組み立てが、文章の中でどれだけ変化するかを見ます。人の文章は短い文と長い文が混ざりやすく、AIの文章は似た長さと形の文がそろいやすい傾向があります。

このほか、AIと人の文章を大量に読ませて見分け方を学ばせた分類用のモデルを使うツールもあります。どの方式も「AIの文章に多い特徴がどれだけあるか」を見ているだけで、誰が書いたかを直接調べてはいません。

「AIの可能性80%」の読み方

スコアは、その文章がAIの文章に多い特徴をどれだけ持っているかを、確率の形で表したものです。「80%」は「この文章の80%をAIが書いた」という意味でも、「80%の確率でAIが書いたと確定した」という意味でもありません。同じ文章でもツールによってスコアが大きく違うことがあり、1つのツールの数字だけで判断しないことが大切です。文章の一部だけをAIで書き、残りを人が直した場合も、どちらとも言い切れない中間のスコアになりがちです。

無料のAIチェッカーで日本語の文章を判定する手順

AIチェッカーの多くは、文字数や回数の上限付きで無料で使えます。会員登録をしなくても試せるものもあります。判定の手順は、どのツールもおおむね次の3段階です。

順番 操作 やること
1 文章を貼り付ける 判定したい文章を入力欄に貼り付ける。ファイルを読み込めるツールもある。無料版は一度に判定できる文字数に上限があるため、長い文章は区切って入れる
2 判定を始める 「判定」「チェック」などのボタンを押す。言語を選ぶ欄があれば日本語を選ぶ
3 結果を確かめる 全体のスコアと、AIらしいと判定された箇所の色分けを見る。スコアの高い箇所を読み直し、事実の誤りや不自然な言い回しが無いかを確かめる

スコアが高い箇所は、AIかどうかを決めるためではなく、読み直す箇所を見つけるために使います。

無料ツールを選ぶときに確かめる項目

ツールの名前やスコアの数字より先に、次の項目を確かめます。日本語対応と、貼り付けた文章の扱いは必ず見ます。

確かめる項目 どこで確かめるか 確かめないと困ること
日本語対応 ツールの説明ページで、対応言語に日本語があるか 英語向けの判定しかできず、日本語ではスコアが当てにならない
無料で判定できる文字数と回数 料金ページや、入力欄に出る上限の表示 長い文章が途中で切られ、一部だけの判定になる
貼り付けた文章の扱い 利用規約とプライバシーポリシーで、保存やAIの学習に使うかどうか 社外秘の文章を外部のサービスに残してしまう
AIらしい箇所の表示 判定結果の画面で、文や段落ごとに色が付くか 全体のスコアしか分からず、どこを直せばよいか分からない

AI判定の精度の限界|誤判定が増える文章

AI判定の精度には限りがあり、人が書いた文章をAI製と判定する誤検知も、AIが書いた文章を人の文章と判定する見逃しも起きます。誤判定が特に起きやすいのは次のような文章です。

文章の種類 誤判定が起きやすい理由 判定するときの扱い
短い文章 手がかりになる語の数が少なく、たまたまの偏りでスコアが振れる 数百字程度の文章は判定にかけない
定型の文章 挨拶文、規程、手順書、議事録などは決まった言い回しが続き、人が書いても予測しやすい スコアが高く出ても、書き手を疑う材料にしない
日本語の文章 判定のモデルが英語を中心に作られていることが多く、日本語の敬語や決まり文句がAIらしく見えやすい 日本語対応をうたうツールを使い、複数のツールで比べる
人が手を入れたAIの文章 AIの下書きを人が書き直すと、AIの特徴が薄れる 低いスコアを「AIを使っていない」証拠にしない

日本語でも判定はできますが、英語より誤判定が増える前提で読む必要があります。とくに社内の文書は定型の言い回しが多く、人が書いたものでもAIらしいと出やすい文章です。

OpenAIが自社の判定ツールの提供を終えた経緯

ChatGPTを提供するOpenAIは、2023年1月にAIが書いた文章を見分けるツールを公開しましたが、精度が低いことを理由に2023年7月20日で提供を終えています。OpenAIは公開当時、英語の文章での評価で、AIが書いた文章のうち「AIが書いた可能性が高い」と正しく判定できたのは26%、人が書いた文章をAI製と誤って判定したのは9%だったとしています。英語で1,000文字未満の短い文章では信頼性が低く、英語以外の言語では性能が大きく落ちるとも書いていました。AIを作る側でも、書かれた文章だけからAI製かを確実に見分けるのは難しいということです。

自分で書いた文章がAI判定されたときの対処

自分で書いた文章が高いスコアで判定されても、書き直してスコアを下げることに時間を使う必要はありません。AIチェッカーのスコアは書いた人を確かめる証拠にはならないため、執筆の経緯を示せる材料を出すほうが確かです。次の順で進めます。

  1. 執筆の経緯を示す材料を集める下書きのファイル、文書作成ツールの版の履歴、メモ、参考にした資料などを集めます。Googleドキュメントやワードの変更履歴は、少しずつ書き進めた跡を示せます。
  2. 判定の結果を残すどのツールで、いつ、どの文章を判定してどのスコアが出たかを、画面の写しと一緒に残します。別のツールでは低いスコアになるなら、その結果も残します。
  3. 判定した人に説明を求めるどのツールのどのスコアを根拠にしたのかを確かめ、短文や定型文では誤判定が起きやすいことを伝えたうえで、経緯の材料を見てもらいます。

ふだんから下書きと履歴が残る道具で書いておくと、疑われたときにすぐ示せます。書き手の側の備えとしては、これがいちばん手間がかかりません。

電子透かしと来歴情報のほうが確かに働く理由

書かれた文章や作られた画像を後から読んで推し量るAIチェッカーに対し、作る側が印や記録を付けておく方法があります。作った時点で付けた印を読むため、推測で判定するより確かに働きます。代表的なものがGoogle DeepMindのSynthIDと、C2PAのContent Credentialsです。

SynthID:生成した側が見えない印を埋め込む

SynthIDは、Googleが自社のAIで作ったコンテンツに埋め込む電子透かしです。Google DeepMindによると、画像や動画には人の目に見えない電子透かしを加え、音声には耳で聞き取れない電子透かしを加えます。文章では、GeminiのアプリとWeb版が文章を作るときに各語の確率をわずかに調整して透かしを入れ、文章の品質には影響しないとしています。画像と動画の透かしは、切り抜きやフィルター、圧縮などの加工を受けても残るように作られています。GeminiやGoogle検索、Chromeに画像や動画、音声を読み込ませると、SynthIDの透かしがあるかを確かめられます。Googleや提携先のAIで作られたものかを確かめる専用の窓口として、SynthID Detectorも公開されています。

C2PAのContent Credentials:作成と編集の来歴を残す

C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)は、デジタルコンテンツの出どころと編集の経緯を確かめられるようにする、公開の技術標準を定めている団体です。この標準をContent Credentialsと呼び、C2PAは食品の栄養成分表示のように、誰でもコンテンツの来歴を読めるものだと説明しています。運営委員会にはAdobe、Google、Microsoft、OpenAIなどが名を連ねています。画像や動画にContent Credentialsが付いていれば、どの道具で作られ、どう編集されたかを読めます。

印が無いことはAI製でない証拠にならない

どちらの方法も、印や記録を付ける仕組みに参加しているAIや道具で作られたものにしか働きません。ほかのAIで作られたものや、来歴の記録が外されたものには印が残りません。印が見つかればAIで作られたと確かめられますが、印が無いことは人が作った証拠にはなりません。現時点では文章の大半に印が無く、文章のAI判定は推し量るしかない場面がまだ多いのが実情です。

業務でAIチェッカーを使うときの社内ルール

社内の原稿確認、採用書類、委託先からの納品物の確認などでAIチェッカーを使うなら、判定結果の扱い方を先に決めておきます。決めないまま使うと、高いスコアを見た人がそれぞれの判断で書き手を疑い、誤判定でトラブルになります。判定結果をどう扱うかは、次の3つの問いで決められます。

AIチェッカーの結果をどう扱うかの判断 生成した側の印を確かめられるか、合否や処分に関わるか、AIの利用が認められた文書かの3つの問いで、判定結果の扱い方を決める ・上から順に答え、最初に右へ抜けたところで扱い方が決まります 電子透かしや来歴情報 を確かめられるか 印と来歴の確認結果を使う ・印が無くても人の作とは決めない はい いいえ 判定結果で合否や処分 を決める場面か スコアは使わず書き手に経緯を聞く ・下書きや編集の履歴を見せてもらう はい いいえ AIの利用が社内ルール で認められた文書か AIの有無より内容の正しさを確かめる はい いいえ スコアは参考に留め、書き手に確認する ・判定した画面と日時を残す
スコアだけで合否や処分を決めないことが最初の分かれ目です。

社内ルールには、次の項目を入れておきます。

ルールの項目 決める内容 そう決める理由
判定結果の位置づけ スコアは参考の情報とし、合否や処分、評価の根拠にしない 誤判定が避けられず、スコアだけでは書き手が反論できない
使う場面 原稿や納品物の一次の確認に限り、気になる箇所を見つける目的で使う 内容の正しさの確認や、本人への質問のきっかけとしては役に立つ
スコアが高く出たとき 書き手に執筆の経緯を聞き、下書きや履歴を見せてもらう 経緯を確かめるほうが、スコアよりはるかに確かな判断材料になる
執筆の経緯の残し方 社内の文書は、版の履歴が残る道具で書くことを勧める 疑われたときに、書き手がすぐに経緯を示せる
AIの利用の申告 生成AIを使ってよい文書では、使った範囲を書き手が申告する AIの利用を前提にすれば、判定より内容の確認に時間を回せる
使ってよいツール 利用規約を確かめ、文章を保存や学習に使わないツールに限る 判定のために社外秘の文章を外へ出すことを防ぐ

判定結果を証拠にしない理由

AIチェッカーのスコアは、文章の特徴から推し量った確率で、書いた過程を見て出したものではありません。同じ文章でもツールによって結果が変わり、短文や定型文、日本語ではとくに誤判定が増えます。判定結果は「確かめるきっかけ」として使い、結論は書き手への確認と執筆の経緯で出すのが、誤判定で人を傷つけない使い方です。採用の書類選考のように人の評価に関わる場面では、AIの判定に頼らず、合否は人が書類と面接の内容から決めます。

AIの利用を認め、内容の確認に手間を回す

生成AIを業務に取り入れる会社では、「AIで書いたかどうか」よりも「内容が正しいか」「社外に出してよい情報か」のほうが問題になります。AIの利用を認めたうえで、使った範囲の申告と内容の確認を手順に入れると、AIチェッカーに頼る場面そのものを減らせます。AIの使い方を社内に定着させるときは、こうした確認の手順も一緒に整えておきます。

まとめ:AI診断のスコアは参考に留め、経緯と来歴で確かめる

  • AI診断は、予測しやすさ(パープレキシティ)や文のばらつきから、文章をAIが書いた可能性をスコアで示す道具で、コピペチェックとは目的が違う
  • 無料で使えるツールが多く、文章を貼り付けて判定を始め、結果を確かめる3段階で使える。日本語対応と貼り付けた文章の扱いは先に確かめる
  • 短い文章、定型の文章、日本語の文章では誤判定が増える。OpenAIも精度不足を理由に自社の判定ツールの提供を終えている
  • 自分の文章がAI判定されたら、下書きや版の履歴で執筆の経緯を示す
  • 確実に確かめたいときは、SynthIDのような電子透かしやC2PAの来歴情報を使う。ただし印が無いことは人が作った証拠にはならない
  • 社内では、判定結果を合否や処分の根拠にせず、一次の確認に限り、書き手への確認と経緯の記録で判断するルールを置く

Augueでは、生成AIの社内ルールづくりから、業務でAIを使いこなすための研修や内製化までを支援しています。AIで作った文書の確認の手順や、判定ツールの社内での扱い方を整えたいなど、ご興味がある方は是非ご相談ください。

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よくある質問

有料のAIチェッカーは無料版と何が違いますか?

多くのツールで、有料版は一度に判定できる文字数や月の回数の上限が広がり、ファイルの一括判定や判定結果の保存、複数人での共有といった機能が付きます。判定の考え方そのものは無料版と同じことが多いため、お金を払えば誤判定が無くなるわけではありません。有料版を検討するのは、判定する文章の量が多く、上限に当たって作業が止まるようになってからで足ります。

社外秘の文章をAIチェッカーに貼り付けても大丈夫ですか?

貼り付けた文章は判定のためにツールの運営会社のサーバーへ送られます。送った文章を保存するのか、AIの学習に使うのかはツールの利用規約やプライバシーポリシーによって違います。顧客の情報や公開前の資料を判定にかけるなら、生成AIを使うときと同じく社内の入力可否の基準に当て、規約を確かめたツールだけを使うようにします。

採用の応募書類にAIチェッカーを使ってもよいですか?

応募者がAIで書いたかを調べること自体はできますが、スコアを書類選考の合否に使うのは避けたほうが安全です。人が書いた志望動機でも定型的な言い回しが多いとAIの可能性が高く出ることがあり、誤判定で不採用にしても応募者は反論の機会を持てません。AIの利用を気にするなら、募集要項で利用の可否を示し、面接で書類の内容を本人の言葉で説明してもらうほうが確かめやすくなります。

社内でAIチェッカーを使い始めるまでに、どんな準備と体制が要りますか?

ツールの導入自体はすぐに済みますが、先に決めておきたいのは使う場面と結果の扱い方です。誰がどの文書を判定するか、スコアが高く出たときに誰へ相談するか、判定結果を記録として残すかを、生成AIの社内ルールを持つ部署(情報システムや法務など)と決めておきます。新しい担当を置かなくても、既存の社内ルールに1項目足す形で始められます。