提案書の下書きで自動で埋まる章と、人が書く章

提案書の作成時間がどこまで短くなるかは、章ごとに違います。素材から組み立てられる章と、担当者の判断が要る章を先に一覧で示します。

提案書の章 下書きの埋まり方 担当者に残る作業
1. 現状と課題の整理 埋めない。商談で聞いた内容と過去の類似案件を材料として並べるに留める 相手の言葉で書き起こす
2. 放置した場合に起きること 確認できた事実の範囲で埋まる 見立ての部分を出すかどうかを決める
3. 提案の骨子 埋めない。空欄で渡す 何をどこまで行うかを決める
4. 進め方と成果物 埋まる。標準の工程から案件の範囲に合わせて削った形 削られた工程が妥当かを見る
5. 体制と役割分担 埋まる。標準の体制に相手の組織の情報を重ねた形 相手側に求める関与を確定させる
6. 日程 埋まる。標準の日数を並べた形 判断の時期から逆算して調整する
7. 見積と前提条件 前提条件は埋まる。金額は空欄で、参考となる過去案件の条件と金額の帯を添える 金額を確定させる
8. 実績と会社紹介 埋まる。掲載許諾の範囲内の事例を素材から並べた形 相手企業へ出してよい事例かを確認する

線引きの基準は、過去の提案資料の中に答えがあるかどうかです。会社紹介や標準の進め方、体制、日程は、これまで書いてきた資料から組み立てられます。一方で相手の課題の整理と提案の骨子は、商談で聞いた内容をどう読むかという判断が入るため、素材からは出てきません。ここを埋めずに材料だけ渡すことが、下書きを使ってもらえるかどうかの分かれ目になります。

この記事では、章ごとの線引きに至るまでの手順として、商談前リサーチで集める範囲の決め方、過去資料を章の単位で素材にする方法、価格や実績の記述を取り違えないための検証を扱います。

提案の出来が担当者ごとに変わる

同じ商材を扱っていても、提案書の中身は担当者によって差が出ます。相手企業の状況をどこまで調べたか、過去に似た案件の資料を持っているか、書く時間が取れたか。この3つが揃った担当者の提案書と、商談の前日に着手した提案書では、構成からして別物になります。

差が出る箇所を分けると、調べる作業と書く作業に分かれます。

調べる作業は、公開されている情報を集めて読む工程です。相手企業が何で稼いでいるか、直近で何を発表したか、どの部署が動きそうか。ここは時間をかければ誰でも同じ場所へ届きますが、時間をかけられるかどうかが人によって違います。

書く作業は、集めた内容を提案の形に組み立てる工程です。過去の似た案件の資料を探し、使える部分を持ってきて、この案件向けに書き換えます。慣れた担当者は自分の手元に素材を持っていますが、その素材は個人のフォルダにあり、他の人からは見えません。

自動化で埋めやすいのは、調べる作業と、書く作業のうち「素材を探して並べる」までです。何を提案するかという判断は残ります。この線引きを曖昧にしたまま「AIが提案書を作る」と言うと、判断まで機械が決めた提案書が出てきて、担当者は結局最初から書き直します。

商談の前を扱う工程なので、商談の後の記録側とは対になります。終わった商談の内容を残す設計は 商談メモの入力をAIで自動化する で扱っています。記録の側で残った課題や決裁の流れが、次の提案のリサーチの入力になります。

短くなる工程と、短くならない工程

提案書の作成にかかる時間がどれだけ減るかは、対象の商材と現在の作り方で変わるため、一律の数字は出せません。代わりに、工程ごとに短縮が効くかどうかと、効いたかを確かめる測り方を置きます。

工程 短縮の効き方 何を測るか
相手企業を調べる 効く。集める項目を決めておけば、公開情報を集めて要約する作業は担当者の手を離れる 商談前に調べている時間と、調べずに商談へ入った件数
過去の似た案件を探す 効く。章の単位で検索できれば、資料を開いて読み比べる工程が減る 素材を探し始めてから使う素材が決まるまでの時間
埋まる章を書く 効く。会社紹介、進め方、体制、日程は素材を並べ替えた形で出せる その章に担当者が入れた修正の量
課題の整理と提案の骨子を書く 効かない。判断が入るため、下書きは材料を並べるところまで 短くならない前提で見込む
価格を決める 効かない。条件の確認と正本との照合は残る 短くならない前提で見込む
体裁を整える 条件付き。決まったテンプレートへ流し込む範囲は減るが、図表の置き方と強調の付け方は残る 文章が固まってから提出用の形になるまでの時間
社内のレビューと修正 条件付き。章立てが揃うとレビューで見る箇所が定まる 提出までの往復の回数

体裁の扱いには順序があります。文章が固まる前に見た目を先へ進めると、整った資料を前提に議論が始まり、中身の粗さが後回しになります。章立てが決まっていれば流し込む先は決まるので、体裁は文章が固まった後の工程として置きます。

短くなるのは調べる工程と素材を探す工程で、何を提案するかを決める時間は残ります。この区別を置かずに全体の削減率を先に決めると、判断が要る章まで自動で埋める方向へ進み、担当者が書き直す時間が増えて差し引きで戻ります。

着手する前に、工程ごとの作業時間を数件分だけ測っておきます。全案件を測る必要はなく、直近の数件で「調べるのに何時間、書くのに何時間」が分かれば、入れた後の比較の基準になります。測っていないと、短くなった実感の有無だけで判断することになります。

商談前リサーチで自動で集める範囲を決める

リサーチを自動化するとき、最初に決めるのは集める項目です。項目を決めずに「相手企業について調べる」と指示すると、出てくる内容の量が毎回変わり、担当者は読むかどうかから判断することになります。

集める項目は、公開情報から確認できるかどうかで分かれます。

集める項目 自動で集められるか 集められないときの扱い
事業の内容と売っている先 集められる(会社サイト、サービス紹介のページ) 記載が薄い場合は求人情報や採用ページで補う
組織の規模と拠点 概ね集められる(会社概要、決算資料) 非公開なら空欄。推計値を置かない
直近の動き(新サービス、提携、組織変更) 集められる(お知らせ、プレスリリース) 一定期間内に発表が無ければ「動きなし」と書く
使っている業務システム 部分的(求人票の必須スキル、導入事例への掲載) 出典が無い推測を書かない。商談で聞く項目に回す
業績の傾向 上場企業なら集められる(決算資料) 非上場は空欄。同業から類推しない
決裁の流れと関与者 集められない 過去の商談記録にあれば引く。無ければ商談で聞く
現在の課題 集められない(発表内容からの見立てに留まる) 見立てであることを明示し、確認すべき仮説として出す
予算の規模と時期 集められない 空欄。過去の類似案件の金額帯を参考値として別枠で示す
競合が入っているか 集められない 空欄。導入事例に他社名があればその事実だけを引く

右の列に「空欄」が並ぶことに違和感があるかもしれませんが、リサーチの成果物で怖いのは情報が足りないことではなく、確認していない内容が確認済みのように並ぶことです。予算や決裁の流れは、埋まっていれば商談の設計に使われます。推測で埋まった値の上で提案を組むと、商談の場で前提が崩れます。

課題の見立ては扱いを分けます。発表内容から「この会社は人手の確保に苦労しているのではないか」と組み立てるのは有効ですが、それは確認済みの事実ではありません。成果物の上では、確認済みの事実と、商談で確かめる仮説を別の欄に置きます。仮説の欄は、そのまま商談のヒアリング項目になります。

出典のない記述を提案書へ持ち込ませない

リサーチを自動化したときに起きる事故の大半は、集めた内容の間違いではなく、どこから来た内容か分からなくなることです。集める段階では出典が付いていても、要約を経て提案書に載る過程で出典が落ち、商談の場で「これはどこの情報ですか」と聞かれて答えられなくなります。

防ぐには、出典を付ける場所を工程の最初に置き、後段で出典が無い記述を通さない構成にします。

商談前リサーチから提案書ドラフト、担当者の加筆までの流れ 公開情報と過去の提案資料を集め、記述ごとに出典を付けて束ねる。出典が確認できない記述と数値の食い違いを検証で落としてから提案書の下書きを組み、担当者が提案の骨格を決めて提出する。落ちた記述は素材の側へ戻す。 機械が処理する 人が判断する 1. 素材を集める 2. 出典を付ける 3. 検証で落とす 4. 下書きを組む 5. 骨格を決める 6. 提出する 公開情報と過去の提案資料 記述ごとに参照元を紐づける 出典なしと数値の食い違い 章立てに沿って素材を配置 提案の的と価格を担当者が決める 直した箇所を素材へ戻す 載せなかった記述の置き場 裏づけが取れなかった内容と、確認すべき仮説
出典を付ける工程を下書きの前に置き、検証で落ちた記述は捨てずに残します。落ちた内容は商談で確認する項目として使えます。

出典の残し方は、URLを1本添えるだけでは足りません。ページのどこに書かれていたか、いつ時点の情報か、公式の発表か第三者の記事かを分けて持ちます。決算資料のように更新されるものは、参照した版まで記録します。

検証の工程では、記述ごとに次を見ます。参照元が付いているか。参照元のページに実際にその記述があるか。数値が参照元と一致しているか。参照元が現在も開けるか。ここを機械で照らせるようにすると、担当者は内容の妥当性だけを見ればよくなります。

出典が付かない記述は、消すのではなく別の場所へ移します。仮説として有効な内容が含まれるためです。移した先を商談のヒアリング項目として渡す形にすると、リサーチで裏づけが取れなかったことが次の情報収集の入口になります。

過去の提案資料を再利用できる形に整える

提案書のドラフトを組む段の材料は、過去の提案資料です。ここが整っていないと、どれだけ生成の側を作り込んでも、出てくるのは一般的な文章です。

過去資料の整理は2つの作業に分かれます。案件属性での分類と、流用してよい部分の切り出しです。

分類は、後から探すための属性を付ける作業です。付ける属性は、次の提案で「似た案件」を引くときに使う軸で決めます。相手の業種、規模、提案した内容の種類、金額の帯、受注したか失注したか、提案の相手が誰だったか(現場か、部門の責任者か、経営層か)。受注した案件だけを素材にすると、うまくいった型に寄りますが、失注した案件も理由と併せて残すと、避ける書き方が分かります。

切り出しは、資料の中身を「そのまま使える部分」「案件ごとに書き換える部分」「その案件限りの部分」に分ける作業です。

提案書の部分 流用の扱い 書き換えが必要な理由
会社紹介、体制、実績の一覧 そのまま使える 案件によらない。ただし更新の担当を決めておく
提供する内容の説明、進め方の標準 そのまま使える 標準を示す部分。案件ごとに変えると比較されたときに揺れる
相手の課題の整理 案件ごとに書き換える 相手の言葉で書く部分。他案件の表現を流すと商談で違和感が出る
提案の骨子と適用範囲 案件ごとに書き換える 何をどこまでやるかが案件の中身。流用の対象にしない
導入までの日程 案件ごとに書き換える 相手の体制と時期で変わる。標準の日数は参考値として持つ
見積と価格の内訳 案件ごとに書き換える 過去の金額を持ち込むと条件の違いが消える
導入事例の紹介 条件付きで使える 相手企業へ出してよい事例か、掲載の許諾範囲を確認してから
前提条件と免責の記載 そのまま使える 抜けると後で揉める。標準の文面を持つ

流用してよい部分は、資料の中から切り出して素材として登録します。資料の単位ではなく、章や節の単位で登録するのが要点です。資料の単位で「似た提案書」を引く形にすると、担当者は結果として過去の提案書を1本開き、そこから手で切り貼りします。それは自動化する前と変わりません。

素材の登録先は、検索できる状態にしておきます。社内の資料を検索して使わせる仕組みの選び方は RAGとファインチューニングの違い で扱っています。提案資料は改訂が頻繁で、価格や体制の記載が古くなると事故につながるため、更新のしやすさが選定の軸になります。

古い資料の扱いも決めます。廃止した提供内容、変わった価格体系、退職した担当者の名前。これらが素材として残っていると、下書きに混ざります。素材ごとに有効期限か最終確認日を持たせ、期限を過ぎたものは検索の対象から外す運用にしておきます。

章立てのテンプレートを決める

ドラフトを組む前に、提案書の章立てを決めておきます。生成の側に構成まで委ねると、案件ごとに章の並びが変わり、社内のレビューでも読む順番が毎回変わります。

商談の相手が決裁層に近い提案書では、次の並びが扱いやすい形です。

  1. 相手の現状と課題の整理。 商談で聞いた内容を、相手の言葉で書き戻す章です。ここが合っていないと以降が読まれません
  2. 課題を放置した場合に起きること。 煽る書き方ではなく、確認できた事実の範囲で影響を示します
  3. 提案の骨子。 何をどこまで行うかを一言で示し、範囲外も明記します
  4. 具体的な進め方と成果物。 工程と、各工程で出てくるものを並べます
  5. 体制と役割分担。 相手側に必要な関与を明記します。ここを曖昧にすると開始後にずれます
  6. 日程。 判断の時期から逆算した形で置きます
  7. 見積と前提条件。 価格の根拠と、価格が変わる条件を書きます
  8. 実績と会社紹介。 判断の材料として最後に置きます

この並びに対して下書きがどこまで埋まるかは、冒頭の表のとおり章ごとに違います。担当者へ渡す前に章ごとの扱いを決めておくと、レビューで見る箇所も揃います。

1と3を下書きの対象から外すのは、商談で聞いた内容の解釈と、何を提案するかの判断だからです。ここを機械が埋めると、担当者は自分の見立てと違う文章を読んでから書き直すことになり、空欄で渡すより手数が増えます。7の金額を空欄にするのは、後述の検証を通したうえで担当者が確定させるためです。

自動で埋める章にも、埋め方の指示を章ごとに分けて持たせます。「実績と会社紹介」は素材をそのまま並べる章、「具体的な進め方」は標準の工程を案件の範囲に合わせて削る章、「体制と役割分担」は相手の組織の情報を踏まえて書く章です。章ごとに違う扱いを、ひとつの指示でまとめて処理させると、どの章も同じ調子の文章になります。

価格や実績の記述を取り違えないための検証

提案書の中で間違いが致命的になるのは、事実として書いた部分です。価格、実績、対応できる範囲、期間。これらは相手の判断の材料になり、間違ったまま提出すると訂正の連絡が必要になります。

事実の種類 取り違えたときに起きること 検証の置き方
価格と見積の内訳 提示額の訂正が必要になり、交渉の前提が崩れる 価格表の正本と照合し、一致しない金額を含む下書きは出さない
提供範囲と対応可否 できないことを提案し、開始後に手戻りする 提供内容の一覧にある項目だけを使う。一覧外の記述を通さない
導入の実績と事例 掲載許諾の範囲を超えた社名が外部へ出る 事例ごとに出せる範囲を持たせ、範囲外の相手には出さない
期間と工程の日数 守れない日程を約束する 標準の日数を正本として持ち、短縮する場合は担当者の判断を挟む
認証や準拠の状況 事実と違う説明になり、審査で問題になる 取得済みの一覧と照合する。申請中と取得済みを書き分ける
他社との比較 根拠のない優劣の記述が残る 比較を自動生成の対象から外す

検証を置く場所は、下書きを組んだ後ではなく、素材を使う段です。下書きの文章に対して「金額が正しいか」を見ようとすると、文中の数字を拾って照合する作業になり、表現が変わるたびに漏れます。素材の側に正本の値を持たせ、正本から引いた値だけが下書きに入る構成にすれば、照合は素材の更新時に済みます。

価格については、下書きに具体的な金額を入れないという選択もあります。金額の欄を空にしたうえで、参考となる過去案件の条件と金額の帯を別に示し、担当者が確定する形です。価格は案件の条件で変わるため、下書きに入った数字が独り歩きするより安全な場合があります。

自社の実績を数値で書く場合は、その数値がどの集計に基づくかを素材の側に持たせます。社内集計の値であれば、そう分かる形で記載します。集計の時点が古いまま提案書に載り続ける状態は、素材の最終確認日を見る運用で防ぎます。

数値を文章に含める資料では、この分け方が共通して効きます。確定した表だけを文章側に参照させ、出力の数値が表と一致するかを機械で照合する組み方は 広告運用のレポート作成をAIで自動化する で扱っています。

ドラフトは完成品として作らない

提案書を自動で組む設計で判断が要るのは、どこまでの完成度を目指すかです。そのまま提出できる提案書を目標にすると、判断が要る章まで機械が埋めることになり、担当者は自分の判断と違う文章を消す作業から始めます。消す作業は、書く作業より気が重くなります。

現実的な置き方は、担当者が直す前提の下書きです。この前提に立つと、設計の判断が変わります。

埋めない欄を残す。 提案の骨子や価格のように担当者が決める部分は、空欄と埋めるための材料(過去の類似案件、聞き取った内容)を並べます。もっともらしい文章で埋めるより、担当者の作業が早くなります。

書き換える前提の箇所を示す。 素材から流用した部分と、案件に合わせて書いた部分を区別できるようにします。どこを見ればよいか分かると、確認の範囲が絞れます。

根拠を横に置く。 記述の元になった素材と出典を、下書きの横から辿れるようにします。辿れないと、担当者は結局元の資料を開いて確認します。

この前提での品質の見方も変わります。文章の出来を採点するのではなく、担当者の手が入った量と場所で見ます。同じ章がいつも大きく書き換えられるなら、その章の素材か指示が実態と合っていません。逆に手が入らない章は、素材をそのまま出せる章です。どの章がどれだけ直されたかを記録しておくと、次にどこを直すかが決まります。

作る範囲を広げすぎないことも、この前提から出てきます。どこまでを社内で作り、どこから既存の道具に任せるかの線引きは 生成AI・AIエージェントの内製化の進め方 で扱っています。提案書の生成では、素材の整理は社内でしかできない作業で、文章を組む部分は既存の道具で足りる場合があります。

提案の型が揃うことで起きること

提案書の下書きを自動で組む仕組みを入れると、書く時間の短縮とは別に、提案の型が社内で揃うという変化が起きます。

これまで担当者の手元にあった素材が、検索できる場所に集まります。過去にどう提案したか、どの章をどう書いたかが見えるようになると、慣れていない担当者が最初から書き始める必要がなくなります。下書きの構成が同じであれば、上司のレビューも見る箇所が定まります。

新しく入った担当者にとっては、下書きが教材として働きます。どの順番で何を書くか、相手の課題をどう整理するか、どこに前提条件を置くかが、下書きの形で示されます。手を入れる箇所と、そのままでよい箇所の区別を通じて、提案の作法が伝わります。

一方で、型が揃うことは表現が似ることでもあります。相手企業に競合と並べて読まれる場面では、どの提案書も同じ構成に見える状態は不利に働きます。ここは判断の分かれ目で、章立てを揃えるのは社内のレビューと立ち上がりのためであり、相手に響く部分(課題の整理と提案の骨子)は担当者が書くという線を保つことで両立させます。

手を付ける順序

範囲を広げたまま始めると、素材の整理も出典の扱いも決まらずに止まります。狭める順序は次のようになります。

提案の型が決まっている商材から始める。 章立てが安定している商材を1つ選びます。案件ごとに骨格から変わる商材は後に回します。

リサーチだけを先に動かす。 提案書の生成に進む前に、リサーチの成果物を担当者に使わせます。集める項目と出典の残し方は、ここで固まります。この段だけでも商談の準備にかかる時間は変わります。

過去資料の整理を進める。 直近の案件から、章の単位で素材を切り出します。全件を遡らず、よく使われる章から登録します。

下書きは自動で埋める章に限る。 会社紹介、進め方、体制、日程から始めます。課題の整理と提案の骨子は空欄のまま担当者へ渡し、どこまで下書きが役に立ったかを聞きます。

直された箇所を見て広げる。 手が入らない章を増やしていきます。着手前に対象の章を決め切らず、記録を材料にします。

始める前に必要なのは、対象の商材、過去の提案資料が置かれている場所と参照できる権限、価格と提供内容の正本、事例の掲載許諾の一覧、そして素材を更新し続ける担当です。最後の1つが決まっていないと、価格や体制の記載が古くなった時点で使われなくなります。検証から本番運用までの進め方と見積の考え方は AIエージェント開発の進め方 を参照してください。

まとめ:提案書作成の時間を短くするための線引き

  • 短くなるのは調べる工程と素材を探す工程、そして素材から組める章を書く工程。何を提案するかを決める時間は残るため、全体の削減率を先に決めない
  • 着手前に工程ごとの作業時間を数件分だけ測っておく。測っていないと、短くなったかどうかを実感でしか判断できない
  • リサーチは集める項目を先に決める。予算や決裁の流れ、競合が入っているかは公開情報からは確認できないため、推測で埋めずに商談で聞く項目へ回す
  • 記述ごとに出典を紐づける工程を下書きの前に置き、出典が確認できない記述は下書きへ通さない。落ちた記述は確認すべき仮説として残す
  • 過去の提案資料は、案件属性で分類したうえで章や節の単位で素材化する。資料の単位で引かせると手で切り貼りする作業が残る
  • 章立てを固定し、章ごとに埋め方の指示を分ける。課題の整理と提案の骨子は空欄で担当者へ渡す
  • 価格や提供範囲、事例、期間、認証の状況は正本と照合し、正本から引いた値だけを下書きに入れる。他社との比較は生成の対象にしない
  • 下書きは完成品ではなく担当者が直す前提で作る。品質は文章の出来ではなく、どの章にどれだけ手が入ったかで見る
  • 素材に最終確認日を持たせ、期限を過ぎたものは検索から外す。廃止した提供内容や古い価格が下書きに混ざる経路を閉じる

Augueでは、社内に散らばった資料を検索できる形に整えて下書きを組み立てるAIエージェントの開発に対応しており、どこまでを自動で埋めどこに担当者の判断を残すかの線引きから一緒に検討できます。自社の提案業務を対象にできるか判断したい方は、是非ご相談ください。

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商談の後の記録側は 商談メモの入力をAIで自動化する、実績の数値を定例の報告にまとめる側は 広告運用のレポート作成をAIで自動化する、社内資料を使わせる仕組みの選び方は RAGとファインチューニングの違い、どこまで自社で作るかの線引きは 生成AI・AIエージェントの内製化の進め方、開発の進め方は AIエージェント開発の進め方 を参照してください。

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よくある質問

提案書の生成機能が付いた既製ツールと、自社で組む場合はどう違いますか?

既製ツールは章立てと文体が提供元の型に沿うため、汎用的な提案書には早く届きます。一方で、自社の価格の出し方や、過去案件の資料をそのまま素材として読ませる部分は制約を受けます。まず既製ツールで出力を見て、自社の型と食い違う箇所だけを作る順序にすると、開発の範囲を狭く保てます。

提案書のデザインやスライドの体裁まで自動で作れますか?

体裁を先に自動化すると、見た目が整っているせいで中身の粗さに気づきにくくなります。まず本文の構成と記述を扱い、体裁は既存のテンプレートへ流し込む形に留めるのが扱いやすいです。図表の配置や強調の付け方は提案の狙いに応じて変わるため、担当者が調整する範囲として残します。

リサーチで集めた外部の情報を、そのまま提案書に載せてよいのでしょうか?

出典を示して引用する範囲に留め、他社の資料の表現をまとめて写す形は避けます。公開情報であっても、要約して自社の見立てとして提示する部分と、相手の発表内容を引く部分は書き分けます。社外へ出す資料では、引用元の記載方法を法務と決めておくと運用時の判断が早くなります。

商材によっては成立しにくい場合がありますか?

案件ごとに提案の骨格が大きく変わる商材では、流用できる部分が目次程度に限られ、下書きの価値が下がります。逆に、提案の型が決まっていて相手の状況に合わせて中身を差し替える商材では効きます。過去の提案資料を並べて、共通している章がどれだけあるかを見れば見当が付きます。